1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八田 達夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70008647)
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Keywords | 通勤混雑 / 疲労コスト / 混雑度 / 地価 / 人口密度分布 |
Research Abstract |
この研究の目的は、通勤の時間コスト、ならびに日本の大都市に特徴的な通勤混雑の疲労コストを金銭換算することにある。次に混雑から生じる外部不経済効果を、疲労コスト関数を使って導出し、通勤混雑緩和対策のひとつである混雑料金をいくらにすればよいかということを提示することである。 平成10年度には、平成9年度に構築した都市モデルを用い、東京の中央線沿線の各駅から都心に通勤する際に要する時間と疲労とのコストを別々に金銭換算した。 ラッシュ時における中央線の各駅間の混雑率に関するデータを得ることができた。昨年得た中央線沿線各駅から都心までの時間距離に関するデータ、さらには各地点の家賃個票データを合わせて基本データが揃った。このデータによって、平成9年度に構築した都市モデルを用いて、家賃を混雑度および都心までの通勤時間の関数として、回帰分析を行った。その推定結果を基に特定化した(時間と疲労に関する)効用関数のパラメータを推定した。さらにこの効用関数から、通勤疲労度および通勤時間の金銭換算を行うことができた。例えば、国立から東京駅までの現行運賃は、片道540円であるが、時間費用は1493円、疲労費用が1774円であることがわかった。 これまでの段階での研究実績の問題点は、2つある。第1に、今のところ中央線沿線のみで分析を行っていることである。次年度は、これを各路線の分析に拡大する。第2に、決定係数が0.5段階であることである。家賃を説明するさままな原因を導入して、家賃関数の精度を上げ、それによって疲労と時間に関する変数のパラメータ精度を上げることがさらなる課題である。
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