1998 Fiscal Year Annual Research Report
生態学的シミュレーションによる組織間関係の進化の研究
Project/Area Number |
09630111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30171507)
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Keywords | 組織生態学 / 組織学習 / 組織ルーチン / 組織内エコロジー / コンピュータ・シミュレーション / 生存時間解析 / マルチエージェント / 組織間関係 |
Research Abstract |
組織間関係の形成過程を生態学的モデルの観点から分析するために、今年度は、組織ルーチンが組織内で生態学的な進化を遂げて形成されてくるという組織学習プロセスをコンピュータ・シミュレーションによって分析した。既にpopulation ecologyの分野で言われているように、あるレベルでの適応行動は、その一つ下のレベルでの淘汰過程によって支えられている。そこで、まず研究の対象を組織ルーチンに絞り、実際の組織では組織ルーチンがどのようにして形成され記憶されているのかを最近の組織学習論の成果を文献レビューすることで整理した。その上で、J.G.March流に組織学習プロセスを組織ルーチンの組織内エコロジーとしてモデル化し、コンピュータ・シミュレーションを行った。その結果、Marchのコンピュータ・シミュレーション・モデルに欠陥のある可能性を示すと共に、組織学習のパフォーマンスを向上させるためには、組織ルーチンの持続性がある程度必要になることを示すことができた。この研究成果は、論文「組織ルーチンと組織内エコロジー」で発表した。 こうして、組織内エコロジーの分析が一区切りついたことで、今後はその成果を基にして、組織間エコロジーのコンピュータ・シミュレーションに取りかかかることになる。これまでcellular automataのシミュレーションを想定していたが、様々な角度から検討した結果、組織間関係の分析にはmulti-agent系のコンピュータ・シミュレーションの方が向いていることが明らかになった。次年度以降は、multi-agent系のシミュレーション・モデルの構築に取りかかりたい。また、組織生態学で用いられている生存時間解析を使った研究にも着手しており、その成果の一部は、編集した書物『生存と多様性』でも取り上げられている。今後は、組織関関係の形成過程の分析にも生存時間解析を用いる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高橋伸夫: "意思決定原理と日本企業" 組織科学. 31(4). 14-27 (1998)
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[Publications] 高橋伸夫・後藤俊夫・藤田英樹: "Culture's conssquences in Japanese multinationals and tcfetime commitment" 国際ビジネス研究学会年報. 4. 60-70 (1998)
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[Publications] 高橋伸夫: "組織ルーチンと組織内エコロジー" 組織科学. 32(2). 54-77 (1998)
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[Publications] 高橋伸夫: "未来傾斜型システムとホワイトカラーの働き方" 社会科学研究. 50(4)(印刷中). (1999)
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[Publications] 塩次喜代明・高橋伸夫・小林敏男: "経営管理" 有斐閣(印刷中), (1999)
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[Publications] 高橋伸夫(編著): "生存と多様性" 白桃書房(印刷中), (1999)