1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640314
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
和田 節子 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (30017404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 洋 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00134867)
成沢 孝敏 電気通信大学, 機器分析センター, 助手 (30143712)
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Keywords | 星間塵 / 炭素質物質 / カーボンオニオン / 赤外線スペクトル / 紫外線スペクトル / 合成実験 / プラズマ |
Research Abstract |
メタンガスをマイクロ波を用いてプラズマ化し、そのガスを細孔から真空中に放出すると、茶色を帯びた黒色の炭素質物質(dark-QCC)と、明るい褐色から黄色をおびた有機質の膜状の物質(filmy-QCC)ができる。著者らは、これらの物質が、星間空間や星周空間で観測される塵のスペクトルとよく似たスペクトルを示すことを報告してきた。この物質の高分解能電子顕微鏡観察を行ったところ、星間塵の示す217.5nm吸収とほぼ同じ吸収ピークをもつdark-QCCは、オニオンカーボンと類似の構造をもつ直径5-15nmの球の集合物であることが明らかになった。 原子星周辺部では、星間塵は水素分子ガスと反応することが期待される。水素分子中での星間塵候補物質の変化を明らかにすること、さらには反応活性な部分構造を明らかにすることを目的として、ガスとの反応実験を試みた。 合成したばかりのdark-QCCとfilmy-QCCを、それぞれ、石英ガラス製のセルに入れ、水素ガラスを360mmHg封入した。そのセルに外部からエキシマランプ光を照射した。dark-QCCの赤外線スペクトルでは、3.42,3.51,6.9,7.3,12.5μmピークが増大したことから、水素付加が起こり、構造にC-H(sp^3-C)の原子団が生じたことがわかる。continuum成分にも変化が見られ、1.5μm付近の吸収が減少し、結果として2μm付近に山が生じた。この変化がどのような構造変化に対応しているのかは、今後研究が必要である。dark-QCCの紫外線スペクトルは、220nm付近にブロードな吸収ピークを示す。このピークの波長位置はこの実験で顕著な変化が見られなかった。他方、この実験で、filmy-QCCのcontinuum成分には多少の変化がみられたものの、バンドスペクトルにはほとんど変化が見られず、水素付加しにくいことがわかった。 水素付加したdark-QCCの赤外吸収スペクトルと観測スペクトルとを比較し、検討を行った。
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