1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640410
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY OF SCIENCE |
Principal Investigator |
秋山 宜生 岡山理科大学, 工学部, 教授 (50167855)
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Keywords | 局在中心 / F中心 / 多孔質シリコン / 微結晶 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
光励起状態における電子の動的振舞いを固体中で典型的な電子性欠陥であるアルカリハライド中のF中心を例に取り、ピコ秒時間分解偏光分光による手法を用いて調べた。さらにその応用として、電気化学的手法を用いて作製された多孔質シリコンからの青緑色発光の発光機構の解明を試みるとともに、発光の原因とされている量子閉じ込め効果およびフォノンの介在などについて研究を行った。 本年度は、前者については、KCl中のF中心に対する時間分解共鳴二次発光スペクトルの励起エネルギーおよび温度依存性を行うことにより、F中心の通常発光(OL)領域内で生じるホットルミネッセンス(HL)の直線偏光度(P)消失とHL強度の増大の原因を調べた。その結果、OL領域内で見られるHLをOL領域内においてもHL領域とほぼ同じP値を持つ発光(すなわち2pポテンシャル面を一方向に落下する際に発するHL)と2pポテンシャルの底に緩和し完全にPを消失した発光(すなわち2pポテンシャルの底からのOL)とに分離することができた。この結果は、萱沼による2pポテンシャルのみを考慮したF中心のHLの時間分解シミュレーションの様態とも良く似た結果となった。このようにピコ秒測定ではあるが、時間分解偏光分光を行うことにより、サブピコ秒領域に踏み込んだ解析が行えることを示した。これらの結果は、今夏開催されるルミネッセンス国際会議においても報告する予定である。 後者については、真空熱処理による水素脱離させた試料に見られる青緑色および赤色発光の発光バンドおよびバンド内における励起偏光メモリーの変化について得られた実験結果を説明するため、局在エキシトンモデルにトンネルおよびフォノンによる効果を考慮したモデルを提唱し、さらにその半定量的な解析を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 真鍋 他: "ピコ秒時間分解偏光分光によるRbCl中のF中心の共鳴二次発光の研究" 光物性研究会'97論文集. 105-108 (1997)
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[Publications] 真鍋 他: "ピコ秒時間分解偏光分光による多孔質シリコの青緑色発光の研究" 光物性研究会'97論文集. 109-112 (1997)
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[Publications] 秋山 他: "時間分解偏光分光によるKCl中のF中心の共鳴二次発光の励起波長依存性" 光物性研究会'98論文集. 29-32 (1998)
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[Publications] 秋山 他: "Picosecond Time-Resolved Linear Polarization Spectroscopy of the Blue-Green Photoluminescence in Vacuum-Annealed Porous Silicon" The Builletin of the Okayama University of Science. 34・A. 87-93 (1999)