1997 Fiscal Year Annual Research Report
低速多価イオン・分子衝突における多電子移行断面積のスケーリングに関する研究
Project/Area Number |
09640495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
日下部 俊男 近畿大学, 理工学部・原子炉工学科, 助教授 (30140297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 洋太 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (10268469)
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Keywords | 多電子移行反応断面積 / 低速多価イオン / 核融合エッジプラズマ / 炭化水素分子 / 生長率法 / スケーリング / 小型EBIS多価イオン源 |
Research Abstract |
本年度はこの研究に不可欠で,かつ我々が独自に開発中の永久磁石使用の超小型電子ビーム入射型多価イオン源(micro-EBIS)の改良・整備に努めた。既に昨年度までに試験的に試作され動作試験の済んだ小型EBISでは,Ne^<1-7+>,Ar^<1-9+>イオンなどが検出され,Ne^<1-6+>,Ar^<1-8+>イオンなどに対する断面積測定が十分可能である。 しかしアルゴンで10価以上のイオンが十分発生できることを目指して,以下の改良及び整備などを行った。 (1)専用小型試験装置の製作:別途助成による,多価イオン源の動作試験のための専用小型試験装置を製作・組立て,真空排気試験まで行った。ベ-キングなしでも数日で10^<-6>Paに容易に到達する。現在ベ-キングシステムを追加中であり,近々多価イオン源の動作試験に不可欠な10^<-7>Pa以下に出来るものと思われる。 (2)micro-EBISの改良: (a)リング状永久磁石の形状の変更:コンピュータシミュレーションの結果を基に,試作機より外径を大きく内径を小さくした。イオン源の中心軸状の軸方向磁束密度分布は,設計以上に強力でかつ約1cmの長さの一様磁場が得られた。このことから電子ビームが試作機より良く収束し,イオンの閉じ込め性能が向上し,より多価のイオンが生成できると期待される。 (b)イオン閉じ込め用電極の位置変更:試作機では磁石のかなり外側に配置せざるをえなく,電子ビームがここで発散し,生成イオンも拡散していたと思われる。今回設計を工夫し,磁石の磁極部に取りつけることが出来た。これもイオンの閉じ込め性能の向上につながり,より多価のイオンが生成できると期待される。 別途助成の小型試験装置の製作に手間取り,改良されたmicro-EBISの動作試験はこれからであるが,近々実施できる見通しがついた。従って次年度は予定通り多価イオン-分子衝突の多電子移行反応断面積測定が行えるものと思われる。
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