1997 Fiscal Year Annual Research Report
高度に5員環の縮環した新奇不飽和炭化水素の合成研究
Project/Area Number |
09640631
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小田 晃規 富山大学, 工学部, 助教授 (50251880)
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Keywords | 不飽和炭化水素 / 縮合多環系化合物 / pi電子共役系化合物 / 多段階レドックス化合物 / 電子環化反応 |
Research Abstract |
8員環のまわりに幾つかの5員環が縮合した完全不飽和炭化水素の合成研究に着手した。まず、2つの5員環が縮合した化合物、ジシクロペンタ[a,d]シクロオクテン、の合成法について検討した。14pi電子環化反応による経路で種々の条件下熱反応を試み、低収率(2%)ながら目的物を得る製法を確率した。この化合物は赤褐色の鱗片状晶で、そのスペクトルデータは化合物の高い芳香族的性質を示した。例えば、水素磁気共鳴スペクトルは化合物のC_<2V>対称性を支持し、8員環が通常平面性を取り難いにも関わらず本化合物が平面であることを示した。また、サクリックボルメトリーによって可逆な酸化および還元波が観測され多段階レドックス化合物の設計に新たな指針を与える結果となった。さらに、その結晶構造について調べるべくX線構造解析に向けた単結晶の作成を検討したが、適正な結晶を得るには至っていない(継続検討する)。一方、異性体であるジシクロペンタ[a,d]シクロオクテンについてもその合成検討を開始した。当初予定した合成法はジシクロペンタジエニルジアニオンを利用するものであり、ジアニオンの生成とそれに続くアルデヒドならびにケトン類との縮合環化について広範な範囲の条件で検討を行っている。しかしながら、いずれの反応においても目的物は得られず、今後反応生成物の詳細を調べると同時に反応制御の新手法を模索することが必要と考えている。また、後者の合成については新たに拡張性の高い環状付加反応による経路を計画し、実施に向け準備中である。
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