2000 Fiscal Year Annual Research Report
3価リン化合物の求核性と一電子供与性の区別に及ぼすリン上置換基の効果
Project/Area Number |
09640654
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Research Institution | Tezukayama College |
Principal Investigator |
安井 伸郎 帝塚山大学短期大学部, 家庭生活学科, 教授 (50149720)
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Keywords | 3価リン化合物 / 一電子移動 / ビオロゲン |
Research Abstract |
申請者は前年度、3価リン化合物Z_3Pから鉄(III)錯体へのSET反応について、SET速度定数k_ρと、SETに伴う自由エネルギー変化ΔG_<SET>との関係を検討し、このSETは不可逆過程であり、その不可逆性はリン上置換基Zがよりかさ高くなるにつれより顕著になることを見いだした。そこで今年度は、この現象を定量的に考察することを試みた。すなわち、Bronsted則におけるα値との類推から、logk_ρ-ΔG_<SET>プロットの傾きから求められるα値をSET段階の不可逆性度を定量的に評価するパラメーターとして用いることを考えた。こうして、α値に及ぼすリン上置換基の置換基効果を吟味することにより、Z_3PからのSETの不可逆性の度合いは、SETに伴って起こる会合錯体中の反応種およびそれを取り囲む溶媒分子の再配列によって決定されると結論づけることができた。 一方、トリブチルホスフィンBu_3Pと、一連の1,1'-ジアルキル-4,4'-ビピリジニウム塩(ピオロゲン;MV^+)との反応において、MV^+の窒素原子上(すなわち1位)のアルキル基のうち少なくとも一つがメチル基の場合には、Bu_3PからMV^+への一電子移動が排他的に進行し、それ以外の場合にはBu_3PはもっぱらMV^+を求核攻撃し両者の共有結合付加物を与えるという、劇的な置換基効果を見いだした。Bu_3PとMV^+の間の立体反発が大きいときにSETが起こるという事実は通常の予測と逆であり、SETにあたってBu_3PはMV^+と強く相互作用することが明らかになった。また、SET(一電子供与)と求核反応(二電子供与)では、Bu_3PのMV^+への接近の方向が異なっていることが示唆される。すなわち、ここで見られた劇的な効果を説明するためには、Bu_3Pの軌道の配向を考慮する必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Yasui: "Reactivity of a Trivalent Phosphorus Radical Cation as an Electrophile toward Pyridine Derivatives"Heteroatom Chem. Vol.11,No.2. 152-157 (2000)
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[Publications] S.Yasui: "Quenching of a Photosensitized Dye through Single-Electron Transfer from Trivalent Phosphorus Compounds"J.Org.Chem. Vol.65,No.15. 4715-4720 (2000)