1998 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的リチウムイオン認識ホスト分子の合成と機能評価
Project/Area Number |
09640697
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤堀 禎利 東邦大学, 理学部, 教授 (40057534)
|
Keywords | ホスト-ゲスト化学 / リチウムイオン選択性 / ホモオキサカリックス[3]アレーン / リン酸基修飾 / 挿入反応 |
Research Abstract |
本研究はリン酸基修飾ホモオキサカリックス[3]アレーン(1)の合成およびリチウムイオンに対する認識能評価を目的とする。p-tert-ブチルフェノールからp-tert-ブチル-2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノールを収率29%で得たのち、これの脱水縮合で1を収率22%で得た。1のメチル化によりモノ-、ジ-およびトリメトキシ誘導体1Me、1Me_2、1Me_3を得た。また別法として、一つの水酸基をベンゾイル基で保護したのち、残りの水酸基をメチル化した後、脱保護することで1Me_2を収率39%で得た。得られた1Me_2にオキシ塩化リンを反応させ目的物質を得ようとしたが、単離生成物のIR、MS、^<31>P-NMRおよび^<31>P-^1HCOSYスペクトルおよびX線構造回折より、これはジメチルエーテル架橋部にリン酸基が挿入反応を起こしたジオキサホスホリナン骨格を持つことがわかった。この挿入反応は興味深いため反応機構の検討を行った。MSスペクトルによる反応の追跡、リン酸メチルエステル誘導体の合成による中間体の特定などを行った結果、挿入反応は加水分解時に起きることがわかった。また、1および1Meとオキシ塩化リンの反応も検討した結果、隣接するフェノール性水酸基が存在する場合は挿入反応は起こらず、隣接する水酸基間で架橋反応が起きることや架橋したリンに結合した塩素は通常のリンに結合した塩素のように容易に加水分解されないことがわかった。P-Clの加水分解はS_N2反応のような背面からの求核攻撃を含むため、架橋部の塩素の背面部位がエーテル架橋部のメチレンプロトンにより大きな立体障害を受けていることが反応性低下の要因であると考えられる。今後、挿入反応や架橋反応が起きずにリン酸基が置換した化合物について機能評価を行っていく予定である。
|
Research Products
(1 results)