1998 Fiscal Year Annual Research Report
N-トシルイミニウム塩生成法の開発とホモアリルアミン合成への応用
Project/Area Number |
09640710
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
増山 芳郎 上智大学, 理工学部, 講師 (30138375)
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Keywords | イミン-アリル化 / ホモアリルアミン / N-トシルイミニウム / 塩化スズ(II) / N-クロロコハク酸イミド / イミン-アセトニル化 / ジアステレオ選択性 / 位置選択性 |
Research Abstract |
筆者は、昨年度、NCS/塩化スズ(II)試剤によるトシルアミドとアルデヒドからのN-トシルイミニウム塩生成法、およびその塩へのアリルシランの求核付加によるホモアリルアミン合成法の開発を目的として研究に着手し、クロチルシランによるγ-anti選択的ホモアリルアミン合成法を確立した。本年度は、本法をアリルシラン以外の求核剤へ応用することを試み、以下のことを明らかにした。(1)アリルトリメチルシランの代わりに用いた酢酸イソプロペニルは、同様の条件下[NCS/塩化スズ(II)、CH_2Cl_2中、室温]、様々なアルデヒドとトシルアミドから生成したN-トシルイミニウム塩へ求核付加し、収率はアリルシランの反応より低いものの(30〜70%)アセトニル化したI-(N-トシルアミノ)ブタン-3-オン誘導体を生成した。(2)アリルシランの反応と同様の条件で、ベンズアルデヒドとトシルアミドを用いて、5等量のフェニルマグネシウムブロミドの付加反応を試みたが、相当するアミンを得ることはできなかった。そこで、溶媒をTHFに替えて、還流条件でN-トシルイミニウム塩の生成を行い、続いて5等量のフェニルマグネシウムブロミドを加えたところ、50%の収率でN-トシルジフェニルメチルアミンが生成した。この方法でアリル、ビニル、アルキルグリニヤール試薬も反応した。グリニヤール試薬はN-トシルイミニウム塩のプロトン引き抜きやジクロロスズオキシドとの反応に消費されるため過剰量必要であった。そこで、トリエチルアミン処理し、エーテル抽出した後、1.5等量のグリニヤール試薬を添加したところほぼ同等の収率で相当するアミン誘導体を得ることができた。(3)クロチルマグネシウムクロリドの付加反応を行ったところ、クロチルシランの反応とは逆にγ-syn体を選択的に生成することができた。この反応は六員環遷移状態を経て進行すると考えた。これによりsyn体、anti体を自由に生成できるようになった。
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