1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650033
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 光一 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (90097171)
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Keywords | カチオン性LB膜 / 原子間力顕微鏡 / 水晶振動子マイクロバランス / オクタデシルアミン / メチルオレンジ / α-ナフトールオレンジ |
Research Abstract |
著者はこれまでに、吸着質にメチルオレンジ(MO)やα-ナフトールオレンジ(NO)等のアゾ色素を用いてオクタデシルアミン(ODA)の色素吸着LB膜を作製し、その吸着特性、分子配向および膜構造の変化について検討を行ってきた。99年度はさらにMOおよびNOの吸着によるLB膜の表面構造の変化をAFMによって観察すると共に、吸着量の変化をQCMから直接求め、色素の吸着過程を調べた。 まず、作製したODA LB膜への色素分子の吸着実験をQCM法によって行った。ODA LB膜(5層累積膜)にNOを吸着させたときのQCMの振動数変化(NOの吸着量に対応)を膜の浸漬時間に対してプロットするとLB膜をNO水溶液に浸漬した直後からNOが急激に吸着するるが、時間とともに吸着速度は減少し、約2時間後に吸着平衡に達した。このことから、ODA LB膜はNOに対して高い吸着性をもつが、一方で吸着速度は長鎖アルキルアンモニウム塩のLB膜に比べるとかなり遅いことがわかった。これらの結果は、UV-visスペクトルの吸収強度から観察された傾向と一致している。 次に、シリコン基板上に累積したODA LB膜の表面構造をAFMによって観察した。吸着前のODA LB膜(単分子膜および5層累積膜)はほぼ平滑な表面をもっており、良好な層状構造の存在が示唆された。一方、MO吸着ODA LB膜(単分子層)のAFMイメージからMOが吸着することによって一部の島状の隆起が生じた。これは、色素吸着によって分子占有面積が増大したためと考えられる。このことは、水面上の単分子膜のπ-A曲線において、極限分子占有面積がMOの吸着によってほぼ2.5倍に増加したこととも対応する。
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Research Products
(1 results)