1998 Fiscal Year Annual Research Report
可逆ミセル転移型高分子による熱・運動量の移動過程の制御
Project/Area Number |
09650253
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菱田 公一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40156592)
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Keywords | 非ニュートン流体 / レーザ計測 / 乱流 / 伝熱促進 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
非ニュートン流体におけるトムズ効果による流体抵抗の減少は従来より知られていたが,最近では界面活性剤による効果も報告されるようになった.このように,現在広く用いられているニュートン流体に代えてある種の流体を用いる,或は少量添加することで低損失で熱媒体を輸送することが可能になると考えられるが,実用上問題となるような乱流状態での流動状況は十分に把握されていない.そこで,界面活性剤に代表されるような可逆的なミセル構造に転移する高分子の乱流域での振る舞いを実験的に明らかにし,その種の流体を用いた熱流動現象の制御方法を確立することを目的とし,主に実験的研究を行った. 昨年度開発したレーザ回折法によるミセルの流動状況の可視化システムに関して,棒状ミセルを模擬した粒子を用いた実験を行った.これは棒状ミセルの配向の検知が可能か否かを調べるためである.この結果,粒子は剪断に沿って配向した様子を散乱パターンで捉えることに成功した. 熱輸送現象に関して,効果的にエネルギー輸送を行うためには適切な熱移動現象の制御方法を検討した.抵抗低減流体の伝熱促進法についてはすでにいくつかの試みがあるが、抵抗低減流れは強い安定性を持っており、伝熱プロモーターを設置するなど通常の流体に使用される方法が、抵抗増大に見合うだけの効果を持つかについては考慮の余地がある。そこで、抵抗低減流体の機能性に着目し、抵抗低減効果が消失する条件を与えて伝熱促進を行う方法について検討を行った。熱交換器入り口に相当する位置に界面活性剤ミセル構造を破壊する要素(金網等)を挿入すると、わずかな圧力損失にもかかわらず水と遜色ない熱伝達率を維持できることを示した、適用できるRe数や活性剤濃度の範囲に限界があることがわかった。
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[Publications] Li Pei-Wen,Hisashi Daisaka,Yasuo Kawaguchi,Akira Yabe,Koichi Hishida and Masanobu Maeda: "The Study on Heat Transfer of Surfactant Solution as Drag-Reducing Flow" 第35回日本伝熱シンポジウム講演論文集. Vol.3. 691-692 (1998)
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[Publications] P.W.Li,H.Daisaka,Y.Kawaguchi,A.Yabe,K.Hishida and M.Maeda: "Turbulence Structure of Drag-Reducing Surfactant Solution in Two-Dimensional Channel with Additional Heat Transfer Enhancement Method" Proc.of the 5th ASME/JSME Joint Thermal Engineering Conference,San Diego,California. (1999)