1999 Fiscal Year Annual Research Report
疑似線形回帰法に基づく適応IIRフィルタの大域的収束アルゴリズムの研究
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09650489
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Research Institution | MEIJI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松本 直樹 明治大学, 理工学部, 教授 (30139464)
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Keywords | 適応IIRフィルター / バイアス / 出力誤差法 / 式誤差法 / 相関除去法 / RLSアルゴリズム / LMSアルゴリズム / 共分散行列 |
Research Abstract |
(1)IIRシステム同定に使われる信号ベクトルは、有色出力信号を含むので、例え入力信号が白色でも相関を持っている。相関除去法を使うと、信号ベクトルの1次の相関が除去可能である。もし、観測出力信号に加算されている外乱信号が白色であれば、相関除去法により、バイアスを受けない、より速いパラメータ推定が実行できる可能性がある。そこで、出力誤差法によるIIRシステム同定において、LMSアルゴリズムと相関除去法を組み合わせたときの効果をシミュレーションで検証した。その結果、出力誤差法を使ったときは、高SNRでも相関除去法はあまり効果がないことが示された。次に式誤差法を使ってシミュレーションした結果、高いSNRでは相関除去法は非常に優れた収束速度を示した。この結果、相関除去法は適応フィルターの信号ベクトルが未知システムの真の出力信号に近い信号ベクトルでないと効果が少ないことが確認された。 (2)従来、出力誤差法に基づくLMS適応IIRフィルターでは、適応フィルターの出力信号ベクトルが、未知システムの出力信号ベクトルと一致していなくても、特に修正を行うことはしていなかった。そこで本研究では、階層型ニューラルネットワークの誤差逆伝播法にならって、パラメータベクトルと、適応フィルターが生成する信号ベクトルを同時に修正する新しい更新アルゴリズムとステップサイズの計算式を提案し、その有効性をシミュレーションで検証した。残念ながら新しい更新式は、パラメータの収束に関して従来法と大差がなかった。 (3)RLSアルゴリズムを用いた適応FIRフィルターでは、一旦パラメータベクトルが真値に収束した後、未知システムの特性が変化すると、新しいパラメータへ向っての収束は緩慢になること、未知システムの特性が変化した直後は、共分散行列の初期値を再度小さい値にリセットすると収束速の度改善されること、また、低SNR環境下では、共分散行列の初期値が小さすぎると、逆に初期収束が遅いことなどが経験的に知られていた。本研究では、統計的仮説に基づいて、RLSアルゴリズムのこれら現象を説明出来る簡単なモデルの導出に成功した。モデルはFIRシステムに対して導出されたものであるが、RLSアルゴリズムを使った式誤差法によるIIRシステムの同定においても同様の現象が観測されることをシミュレーションで確認した。今後、未知IIRシステムの特性変化やSN比の変化を実時間で正しく検出する方法の開発が課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naoki Matsumoto: "Simple approach to TSP by permutation of six cities and deletion of crossover"1999 IEEE Pacific Rim Conference on Communications,Computers and Signal Processing(PACRIM 1999),Aug.22-24,1999,University of Victoria Victoria,B.C,Canada. 377-380 (1999)
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[Publications] Naoki Matsumoto: "Iterative control of logistic map based on internal model principle and sigmoid function"1999 Internal Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications,Hilton Waikoloa Village, Hawaii,U.S.A.Nov.28-Dec.2,1999. Vol.2. 475-478 (1999)