Research Abstract |
本研究は,流水場に一定間隔で設置した複数の構造物による浮氷群のアーチ形成条件を明らかにすることを目的としている.榎,大島は,構造物として橋脚を対象とし,橋脚の標準断面である小判型橋脚の間隔と流速,それに氷盤の厚さを変化させて実験を行った.この時,橋脚Noseは鉛直とし,氷盤の密接度を変化させた.実験に使用した模型氷は,ポリプロピレンの板状で,一辺5cmの正方形で厚さ5mmである.この模型氷をフィーダーと呼ばれる氷供給装置に約800枚敷きつめて,水路に放出した.氷の密接度は4種類用意し,表面流速は3.7〜20.0cm/secの間で6種類変化させた.橋脚の径間距離は,10,14,18,28cmの4種類とした.これらを種々組み合わせて数多くの実験を行ない,アーチができるか,できないかを判定した.この判定を行う識別関数:Aは A=∫(Qi,a,b,B,V,h,h′,g,ρw,ρi,μ)(1) で与えられる.ここでQi:氷の密接度,a:氷の大きさ,b:橋脚の径間距離,B:水路幅,V:表面流速,h:氷厚,h′:水深,g:重力加速度,ρw,ρi:水と氷の密度,μ:摩擦係数である.これを無次元化し,今回の実験条件より定数になる項を考慮すると,(1)式は, a/b=∫(Qi,b/B,V^2/gh) (2) で与えられ,この(2)式を用いて,実験結果を検討してみた. 1.アーチ形成条件は,模型氷が水路表面を覆う密接度:Qi,模型氷の代表的な長さaと橋脚の径間距離bとの比:a/b,それに表面流速Vと重力加速度g,氷厚hの無次元量:V^2/ghによって決定されることが明らかになった. 2.模型氷の厚さが0.5cmの場合と1cmの場合に対して,V^2/ghがほぼ同じ値にとったところ,アーチ形成限界がほとんど同じ結果を得た.これより氷厚に対するフル-ド則が満足されていることが判った.
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