1998 Fiscal Year Annual Research Report
都市の人間活動に由来する還元性硫黄化合物の発生量とその気候影響の評価
Project/Area Number |
09650597
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村尾 直人 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00190869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 定 北海道大学, 大学院工学部研究科, 助手 (80220242)
太田 幸雄 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (00100058)
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Keywords | 還元性硫黄化合物 / 硫化カルボニル / 二硫化炭素 / 地球温暖化抑制 / 下水処理場 / 発生量 |
Research Abstract |
COSやCS_2などの還元性硫黄化合物は、大気中で硫酸粒子に変換され、温暖化抑制効果をもっことが指摘されているが、ごみ埋立地や下水処理場など、人為起源発生量の見積もりが坏十分なままになっている。本研究は、そのような都市の人間活動に由来する還元性硫黄化合物の発生量の把握とその気候影響の定量的評価を最終的な目的としているが、本年度は、還元性硫黄化合物のサンプリング・分析法の最終的な確立と下水処理場での排出量調査を行った。 還元性硫黄化合物のサンプリング・測定法については、すでに前年度においてCOSやCS_2の測定が可能になっていたが、さらに配管材質と試料捕集剤について検討を加えた結果、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチルについても測定が可能となった。 以上の方法を用いて、月一回程度の頻度で、下水処理場からの還元性硫黄化合物の排出量調査を行った。対象とした下水処理場は上屋形式の覆蓋が各施設になされており、排気ファンからの排出ガス濃度を測定することによって、施設全体からの排出量が算出可能である。排出ガス濃度の測定は、沈砂池排気ファン、最初沈殿池・エアレーションタンク排気ファンおよび脱臭装置(生物脱臭)入口・出口で行った。その結果、(1)沈砂池排気ファン、最初沈殿池・エアレーションタンク排気ファンにおけるCOS、CS_2濃度は、それぞれ、2〜10、0.2〜0.8ppb程度夏期に高い傾向があること、(2)脱臭装置入口における濃度も同程度であるが、脱臭装置では硫化水素、硫化メチル、二硫化メチルが90%以上除去されるのに対して、CS_2、COSはまったく除去されないこと、(3)以上から対象とした下水処理場からのCOS、CS_2の年間排出量は、それぞれ3、0.4kg程度と推定されるが、この値によって都市大気濃度の蜆測から示唆される都市内の排出量をすべて説明することは難しく、ごみ埋立地等の他の排出源を調査する必要があること、がわかった。
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