1998 Fiscal Year Annual Research Report
火災時における鋼構造物の崩壊温度解明に関する基礎研究
Project/Area Number |
09650617
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 弘之 筑波大学, 構造工学系, 教授 (20114093)
|
Keywords | 鋼構造 / 耐火 / 崩壊温度 / 機構強度 / 全体座屈 / 局部座屈 / 横座屈 / 合成梁 |
Research Abstract |
本研究は火災時における鋼骨組の崩壊温度を理論及び数値解析の両面から検討し、これを踏まえて、架構の崩壊温度の合理的かつ簡明な推定法を提案することを目的としている。 本研究では、火災時における実用上重要な崩壊要因である柱の局部座屈と梁ないし合成梁の横座屈に着目し、両崩壊を詳しく研究するための有限要素モデルを各々開発し、これに基づき、一連の数値計算を試みた。局部座屈問題に対しては、曲げと軸力を受ける柱の局部座屈後挙動を的確に追跡するために、短柱の高温圧縮試験結果が直接組み込まれた有限要素を開発した。横座屈問題に対しては、合成梁の高温塑性化後の大変形時、梁の断面形が崩れる実情を踏まえ、面内・外に変形可の板要素を集成した有限要素梁モデルを開発した。 一方、上記一連の精算結果を踏まえ、局部座屈崩壊、及び横座屈崩壊が支配する架構の崩壊温度を手計算で推定可にするための、簡易モデルを各々作成し、これより得る推定崩壊温度と精算崩壊温度を比較検討し、試行錯誤的に簡易モデルの精度向上を目差した。これによると、高温時柱の局部座屈部耐力は、熱歪を踏まえたストレスブロックの積分として評価できることが分かった。無補剛梁の高温耐力は、横に飛び出した断面は弱軸の全塑性強度を持つと仮定して算出される機構耐力とほぼ等しい。合成梁は、殆ど横座屈しないが、若干無座屈梁より耐力低下をきたす。この場合の合成梁の高温耐力はスラブ部分を無視した梁の全塑性耐力よりやや大きい。上記の概算的な認識で架構の崩壊温度を推定し、これと既に研究済みの架構の基本崩壊温度を比較すれば、上記両不安定要因の火災時における悪影響を明確に定量化できる。これが本論の結論である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 鈴木弘之: "火災加熱を受ける鋼構造骨組の崩壊温度(21・鋼柱の座屈崩壊温度)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. A2. 67-68 (1998)
-
[Publications] 鈴木弘之: "火災加熱を受ける鋼構造骨組の崩壊温度(22・Beam-Columnの局部座屈後挙動解析)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. A2. 69-70 (1998)
-
[Publications] 鈴木弘之: "火災加熱を受ける鋼構造骨組の崩壊温度(23・内柱の局部座屈による架構崩壊温度)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. A2. 71-72 (1998)
-
[Publications] 鈴木弘之: "火災加熱を受ける鋼構造骨組の崩壊温度(24・鋼ブレース骨組の崩壊温度)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. A2. 73-74 (1998)
-
[Publications] 鈴木弘之: "鋼梁の崩壊温度に関する実験" 構造工学論文集. 44B. 531-538 (1998)