1998 Fiscal Year Annual Research Report
都市生活者の地域活動への参加指向と「防災意識」とのギャップの改善に関する研究
Project/Area Number |
09650644
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平手 小太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70165182)
|
Keywords | 防災意識 / 住民参加 / 都市生活者 / 地域活動 / アンケート調査 |
Research Abstract |
(1) 過去の調査結果の分析による「防災意識」に関わる概念の整理 前年度は、「防災意識」に関するアンケート調査等より、個人属性等と「防災意識」との関係を検討した。この結果、当初の目的であった「地縁的組織に属するか否か」という個人属性だけでなく、「地域に愛着を感じるか」等の居住環境評価項目等が「防災意識」と直接関連していることが示唆された。そこで、本年度は、前年度調査を含む一連の防災アンケート調査結果を再度分析して、「防災意識」と直接関連する項目の抽出、および全項目間の因果関係の把握を試みることとした。 まず、過去の調査で用いた主な調査項目を整理し、これらを「防災意識」という視点から、さらに数種類に大別した。この分類を基本に、前年度調査等の結果を数値化して、因子分析や変数群の統合等を行い、少数個の合成変数を作成し、内容に見合う名称(「地域活動参加意向」等)をつけた。 (2) グラフィカルモデリングを用いた調査結果の総合的分析 (1)で整理された合成変数間の「直接的な」因果関係を見るために、「グラフィカルモデリング」という新しい多変量解析手法を用いた。この手法は、変数間の偏相関係数を可能な限り0とおいたモデルを用いて、観測された相関係数行列がどれだけ再現できるかをモニタリングすることにより、「直接的な」因果関係のみによる因果モデルを得ようとするものであり、他の研究事例では、10以下と少ない変数の場合に用いられている。今回得られた合成変数はー調査につき40〜50と多かったが、結果的に、各調査結果とも、あてはまりの良いモデルを得ることができた。 現在、本年度の結果から「防災意識」の総合的な因果モデルを作成するとともに、年度を超えた形で、過去に調査を行えなかった市民層を対象とした新しいアンケート調査を行う。
|