1997 Fiscal Year Annual Research Report
波長可変ピコ秒パルス分光による超格子薄膜の熱拡散率測定
Project/Area Number |
09650713
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 弘道 茨城大学, 工学部, 助教授 (70168946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早稲田 嘉夫 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (00006058)
篠島 妥 茨城大学, 工学部, 助教授 (80187137)
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Keywords | ピコ秒パルス分光 / 超格子 / 薄膜 / 熱拡散率測定 / レーザーフラッシュ法 / 熱伝導率 / 短パルス |
Research Abstract |
本研究は2年間にわたる計画であり、平成9年度は主に装置の設計、設置、調整、立ち上げを実施した。既存の短パルスレーザー発生装置をもとに、レンズ、ビームスプリッタ、ロックインアンプなどを付設することによりシステムを構築した。厚さが数10nmから数100nmの超薄膜の熱拡散率を測定するための最初のステップとして、フェトム秒(10^<-15>秒)オーダーの時間分解能を持つ厚さ方向の熱伝導状態を測定する装置を開発し、金属の中でも熱拡散率が比較的大きいアルミニウムバルクを用いて測定を行い本装置で得られた結果について検討した。この結果を踏まえ、さらに、耐熱コーティングとして用いられるMo薄膜の測定を行った。得られた熱伝導率の値はバルクの値とはかなり異なっており、現在、これらの点について表面の構造の影響、酸化皮膜の影響などの検討を実施中である。 測定したデータおよび得られたデータの妥当性については平成10年度3月、日本金属学会定期大会で発表を行った。 平成10年度は超格子膜を作成し熱伝導率の測定と解析を行い、また分子動力学的検討の結果との比較を行う計画である。また今年度、行えなかった300nm〜900nmの広い範囲でレーザーの波長を変えることによりレーザービームの試料への浸透深さを変え、初期温度分布を変化させ、さまざまな波長のレーザーに対して温度応答を測定し、解析を行うことにより薄膜内の熱拡散率分布の空間分布を求める予定である。このような手法により超格子内部の熱伝導率分布を求め、さらに分子動力学シミュレーションによって求められる格子振動に関する局所的な情報と直接比較を行い、超格子の動的空間構造を把握することを予定している。
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