1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650754
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
麻生 節夫 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (80167915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正治 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (50005948)
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Keywords | クロム白鋳鉄 / クロム炭化物 / 鋳造複合材料 / 高温変形 / 圧縮強度 / ロール材料 / ひずみ速度依存症 |
Research Abstract |
黒鉛晶出型クロム白鋳鉄は2種類の共晶から構成され,最初にクロムの分配が多い炭化物共晶がセル状に凝固し,セル境界近傍のクロムの少ない残液から引き続き黒鉛共晶が凝固する過程をたどる。したがって,凝固後の組織は炭化物,鉄基地,黒鉛の3相の複合組織から構成されることになる。通常黒鉛は片状に凝固する(片状黒鉛晶出型クロム白鋳鉄:FG合金)が,FG合金に球状化処理剤として,セリウムミッシュメタルを添加することによって黒鉛が球状化した球状黒鉛晶出型クロム白鋳鉄(SG合金)が得られる。SG合金の高温圧縮試験による真応カ-真ひずみ曲線の形状は,Tm/2(700K,Tm:合金の融点の絶対温度)以下の低温側における加工硬化をともなうタイプとTm/2以上の高温側における応力が極大値を示したあと徐々に軟化するタイプとに大別される。また,最大応力のひずみ速度依存性は873K以上で顕著に現われ,ひずみ速度感受性指数は0.11〜0.14を示した。変形の見掛けの活性化エネルギーは300〜400kJ/mo1と見積もられ,SG合金の高温変形を律速しているのは主に基地の変形であり,一方強度は炭化物に依存していることが推察される。黒鉛の球状化によってTm/2以下の強度は向上したが,Tm/2以上の温度での強度の向上は見られず,高温変形には黒鉛の形状はあまり寄与しない。ただし,通常の高クロム白鋳鉄に比較した場合,黒鉛の存在による強度の低下は少ないことがわかった。また,座屈試験後の引っ張り変形した破面組織は低温では脆性破面で高湿では延性破面であることがわかった。
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