1997 Fiscal Year Annual Research Report
鉄スクラップ中トランプエレメントの簡易な高感度分析技術の開発
Project/Area Number |
09650897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田中 龍彦 東京理科大学, 工学部, 助教授 (40084389)
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Keywords | 鉄スクラップ / トランプエレメント / ストリッピングボルタンメトリー / 微量成分分析 / 高感度分析 / 鉄鋼分析 |
Research Abstract |
1.鉄鋼中微量銅の定量方法の開発 鉄鋼試料を酸分解後,鉄マトリックスを分離せずに微量銅を直接定量できる迅速簡便なアノ-ディックストリッピングボルタンメトリーを開発した。鉄(III)を2価へ還元するためにL(+)-アスコルビン酸を添加した硝酸-硝酸溶液から分取した4mlの試料溶液(pH2.5)を,-0.7V vs.Ag/AgClで前電解して銅を回転グラッシーカーボンディスク電極上に析出させた後,50mV s^<-1>の速度で0.2V vs.Ag/AgClまで電位を走査して示差パルス溶出曲線を記録し,ピーク高さから銅量を求めた。 前電解時間を変えることにより(1200〜5s),広い銅濃度範囲(1.6×10^<-8>〜3.2×10^<-5>M)で原点を通る直線の検量線が得られた(相関係数>0.9992)。定量範囲は鉄鋼中0.5〜1000μg g^<-1>で,10μg g^<-1>レベルの銅が0.9%程度の相対標準偏差で定量できた。分析所要時間は50分間以内であった。大部分の元素は共存しても問題とならなかったが,Ag(I),Se(IV),Te(IV)の存在は銅のピークに大きく妨害した。本法は現行の鉄鋼JIS分析方法に比べ,有害試薬を用いず,煩雑な前処理操作を必要とせずに微量から高濃度域までの銅を定量できる利点がある。これらの結果をまとめて論文誌に投稿中である。 2.鉄鋼中ヒ素の定量方法の開発 回転金膜を作用電極に用い,銅とほぼ同様の手法でヒ素を定量できる方法を開発した。ヒ素(V)の3価への還元と鉄マトリックスの妨害の抑制にはヨウ化カリウムの添加が最適であった。ヒ素10〜50ng ml^<-1>の範囲で原点を通る検量線が得られ,鉄鋼中100μg g^<-1>までのヒ素に適用可能である。感度の向上,銅イオンの妨害などについてさらに検討中である。
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