1997 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体の結晶化における成分鎖間の競合と多重球晶の形成
Project/Area Number |
09650991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
塩見 友雄 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10134967)
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Keywords | ブロック共重合体 / 結晶化 / 二重球晶 / 長周期 / ポリ(ε-カプロラクトン) / ポリ(エチレングリコール) |
Research Abstract |
結晶性成分のみからなるブロック共重合体の結晶化において、特に融点の差の小さい成分の組合せにおいては、融体中のミクロ相分離構造ばかりでなく成分鎖の結晶化の競合が重要な因子となる。その様な共重合体である、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)とポリエチレングリコール(PEG)を成分とするABA型トリブロック共重合体(いずれも約5000の分子量を有するPEGを中心成分とし、分子量が、1:2200;2:4600;3:8000;4:20000のPCLを両端鎖とする)について、球晶の形成過程と形態を観察した。ABA-2と-3について、内側と外側の成分の異なった同心円状の二重球晶が発現した。その過程は、まずPCLの球晶のみが発生・成長し、ある時点でその成長面からPEG球晶が成長していくものであった。一方、PCL成分の多いABA-1ではPCL球晶のみが、PEG成分の多いABA-4ではPEG球晶しか観察されなかった。二重球晶を示したものでは2種類の長周期がSAXS測定によって得られ、それぞれPEGおよびPCL結晶ラメラを含む繰り返し構造に基づくものであることが確認された。これらの長周期の値より、相手成分鎖が非晶状態で結晶ラメラの間に存在していることが示唆された。 このような二重球晶の発現において、(1)一方の球晶のみが最初に発生すること、(2)途中で球晶成分が交替すること、について考察された。(1)についての理由は現段階では不明であるが、一旦一方の成分が核形成するとその成分の結晶が排他的に成長していくと考えられる。(2)の理由の1つは共重合体の組成分布によるものと推察された。PCL球晶成長時にPEG-richな分子が球晶面に凝集しある濃度に成ったときPEGが核生成し、一旦生成すると排他的にPEG結晶が成長していくものと考えられる。
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