1998 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける土地荒廃現象の解明と持続的土地利用システムの確立
Project/Area Number |
09660019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒川 篤史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60227452)
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Keywords | 環境指標 / 都市環境 / 上下水道 / 公害環境 / ライフスタイル / 経済指標 / 環境負荷 / 居住環境 |
Research Abstract |
国際的に比較可能な「環境指標」を用いて、世界の都市の環境比較を行った。その結果は以下のようにまとめられる。 (1) 上水道普及率と下水道普及率は、都市の衛生・保健環境の指標と考えられる。上下水道普及率の低い都市は、最発展途上国に多い。上下水道普及率は乳幼児死亡率と負の相関をもち、とくに上水道の整備は衛生環境の改善を通じて、人の生死に直結する。 (2) 大気中の浮遊粒子状物質濃度と二酸化硫黄濃度は、工場や自動車などがもたらす公害環境の指標と考えられる。これらの指標値は一人あたりGDPと関連しているが、二酸化硫黄濃度が高い都市群は、浮遊粒子状物質濃度が高い都市群に比べて、一人あたりGDPが高い傾向にある。 (3) 廃棄物排出量と二酸化炭素排出量は、先進国型のライフスタイルと結び付いた環境負荷の発生量を指標すると考えられる。これらの排出総量は人口と、一人あたり排出量は経済指標とそれぞれ関係が深い。 (4) 一戸あたり床面積・一人あたり公園面積は、居住環境を指標すると考えられる。これらの指標値と経済指標との間には明確な相関は認められない。過去から現在にいたる、都市計画や住宅供給に依存していると考えられる。 このような都市環境問題を規定する要因としては、各都市の経済水準、自然的条件、産業特性、人口規模、都市の履歴、成長速度が考えられる。したがって、それぞれの都市が直面する環境問題に対して、これらの都市の諸条件を踏まえた上で、適切な環境保全施策を実行していくことが必要である。
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