1997 Fiscal Year Annual Research Report
果実発育初期の生長制御によるブドウ果実の裂果抑制機構の解明と応用
Project/Area Number |
09660030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 教授 (60135548)
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Keywords | ブドウ / 裂果 / 初期生長 / 生長制御 / 生長調節物質 / CPPU / 組織構造 |
Research Abstract |
果実発育初期のホルクロルフェニュロン(CPPU)処理が果実発育と裂果発生に及ぼす影響について調査した。 ‘藤稔'成木に満開時にジベレリン酸(GA_3)25ppmおよびGA_325ppm+CPPU2.5ppm、満開11日後にGA_325ppmおよびCPPU5ppmの花房浸漬処理した。1回目GA_3単用、1回目GA_3単用+2回目GA_3単用、1回目GA_3単用+2回目CPPU単用、1回目GA_3・CPPU混用+2回目CPPU単用の4処理区を設け、各々20果房に処理した。 ベレゾーン期以降、いずれの処理区においても裂果が発生した。1回目GA_3単用区では、最終的に全果房で裂果が発生し、果房あたり裂果粒率は8%に達した。1回目GA_3単用+2回目GA_3単用区で裂果房率は94%、裂果粒率は9.6%に達した。また1回目GA_3単用+2回目CPPU単用区では各々82%と7.8%であった。一方、1回目GA_3・CPPU混用+2回目CPPU単用区では各々53%と3.8%にとどまった。果実の発育には、明瞭な停滞期は認められず果粒はほぼ連続的に肥大した。可溶性固形物含量は成熟期に緩やかに増加し、処理区間に差は認められなかった。アントシアニン含量は、1回目GA_3・CPPU混用+2回目CPPU単用区で増加がやや遅れたが、収穫期には各処理区間で差はなかった。果皮硬度は、ベレゾーン期まで緩やかに上昇し、ベレゾーン期以降1週間に急速に低下し、以後緩やかに低下した。果肉硬度も、ベレゾーン期以降1週間で急速に低下し、以後は一定の値を保った。組織観察の結果、1回目GA_3単用区、1回目GA_3単用区+2回目GA_3単用区に比べ、1回目GA_3・CPPU混用+2回目CPPU単用区、1回目GA_3単用+2回目CPPU単用区の果実では裂果の発生するベレゾーン直後において、亜表皮の細胞がより扁平で細胞層数が多かった。 以上の結果より、‘藤稔'において、満開期および満開後のCPPU処理により果実の肥大や成熟を妨げることなく裂果を抑制できることが示唆された。
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