1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09660152
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
神田 リエ 山形大学, 農学部, 助手 (10250961)
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Keywords | 樹木 / 人間 / 巨樹 / 名木 / 伝説 |
Research Abstract |
1. 日本の伝説や昔話の世界を通して、樹木と人間とのかかわりについて検討を行った。伝説や昔話に現れた樹木は、人間の居住空間及びその周辺に多く、民間信仰や日常の暮らしに深く結びついている。伝説に現れた樹木は、神や歴史上の人物との結びつきが多くみられ、古来からの自然信仰に仏教が融合していったものといえるだろう。樹木にまつわる伝説としては、歴史的、宗教的、民俗的、霊的、場所的なものがみられた。昔話に現れた樹木は、生活とのかかわりが深い。樹種の数も豊富であり、その利用範囲も多方面にわたっている。樹種はその土地の植生を反映したものであり、独自の文化あるいは信仰なども垣間見ることができた。 2. 日本における巨樹・名木の歴史と現状について把握した。巨樹・名木の多くは、社寺や里山付近に分布しており、環境的にも恵まれた条件下にある。また、故事伝承、独特の呼称、信仰対象、保護指定など、社会的な要因に大きく影響を受けている。 3. 地域における樹木と人々とのかかわりについて、北海道、山形県、新潟県、石川県において現地調査を行った。その主な調査内容は以下の通りである。 (1). 北海道・・・道内における樹木の伝承・アイヌの人々の樹木観 (2). 山形県・・・樹木霊の供養としての草木搭、梅塚 (3). 新潟県・・・サケを呼ぶ森としてのタブノキ林 (4). 石川県・・・鎌打ち神事とタブノキ・タブノキにまつわる伝承 巨樹・名木は、地域の人々とのかかわりの中で、大切にされてきたものといえるだろう。樹木は実用性と霊性との二つに大きく分けられ、その中において多様な役割を持って人々の暮らしに機能してきたことが、伝説や昔話、そして地域に継承されてきた信仰行事などを通して明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 神田リエ: "巨樹を通してみた自然と人間との関わり-山形県の巨樹を事例として-" 日本林学会大会講演要旨集. 108回. 311 (1997)
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[Publications] 神田リエ: "山村におけるトチの実利用の実態-朝日村行沢地区の事例-" 東北森林科学会大会講演要旨集. 2回. 61 (1997)
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[Publications] 神田リエ: "昔話における樹木と人々との関わり“全国昔話資料集成"より" 東北森林科学会大会講演要旨集. 3回. 71 (1998)
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[Publications] 大石康彦 他: "森を調べる50の方法" 日本林業技術協会, 4 (1998)