1998 Fiscal Year Annual Research Report
農林災害からみた南九州における火山活動の総合危険度評価に関する研究
Project/Area Number |
09660167
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
谷口 義信 宮崎大学, 農学部, 教授 (70041051)
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Keywords | 霧島 / 火山 / 炭化木 / 地表面温度 / 噴気 / 災害危険度 / 熱水蒸気 / 土壌硬度 |
Research Abstract |
火山活動による土砂災害はその規模の非常に大きいのが特徴である。したがって、土砂災害防止の観点から、まず火山噴火の予知が非常に重要であると考え、ここでは、この火山活動を予知する一つの方法として、火山体における地表面の温度変化と温度分布特性について継続観測を行っている。それによると、霧島火山新燃岳火口では、1992〜1993年にかけては、1882年の旧火口周辺で地表面温度が最も高くなっている。しかし、1994〜1998年にはこれが若干中央火口よりに移ってきている。このことから、新燃岳では次第に高温部がやや西側に移動していることがわかる。このことは、地表部に近いマグマの位置がやや西側に移動し始めていることを示している。また、霧島山麓の硫黄谷では、1992〜1993年に比べ、当初高温部であったところは温度が下がっており、1999年では、斜面下部側に高温部が広がってきている。さらに、新湯温泉、手洗温泉ともに高温域が大きく広がっていると同時に、斜面の土壌硬度が著しく低下している。これらのことから、霧島火山一帯では火山性ガスと熱水蒸気による地下部の風化が相当進んでいると考えられ、こうした斜面では大規模な深層崩壊のおこる危険性がかなり高くなっていることがわかった。このことは、えびの市西内竪の崩壊露頭斜面で行われた、地表面下10〜20mの地点の測定結果からも裏付けられた。一方、新燃岳火口に近いところで採集された火砕流炭化木の年輪測定から、新燃岳では1716〜1717年の噴火以前に200〜250年の静穏期があったことが明らかになった。このことは、新燃岳ではほぼ200〜300年周期で大噴火が繰り返されているのではないかと考えられる。
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Research Products
(2 results)