Research Abstract |
寒天原藻・オゴノリ属の帰化種として,2種を採取し文献や標本による比較検討を行なった.主技は柱状で,ところどころで分枝し葉長が1m以上になる仲間は,Gracilaria lemaneiformisに近いと思われた.今年度,有明湾,大分県国東半島沿岸,広島県宮島,徳島県阿賀川河口,高知県浦の内湾,千葉県館山からの標本を得たが,藻体の形態は,各地から得た試料はほとんど差異がなかった.主技は柱状で二股に分技してゆき,30cmほどになる仲間は,Gracilaria colonopiforiaに近い種と推察された.東南アジアに分布しているG.colonopiforiaとは,形態が酷似しているが,日本で採取された標本よりも小型であった.この仲間は神奈川県城ケ島で,最初に発見されて,筆者の施設で,屋外培養を続けているが,成長も早く,周年よく成長する特徴があった.今回,静岡県浜名湖でも繁茂が確認されたが,この仲間は2カ所以外は,繁茂は確認されなかった.この2種とも,今年度に各地から採取された試料は,果胞子嚢を持つ個体を得ることができなかったが,過去に採取されたところから同じ試料を得ることから,安定した繁茂が続いていると推察された. オゴノリ類の試料からDNAを抽出することは,まだ,日本では行なわれていないが,ノリなどで行なわれているDNA解析方法を検討し,Nuleon Biosciences phytopure plant extract kitで抽出が可能であるあることがわかった.今年度は,時間的に余裕がなかったので,機材の購入,使用試薬の検討と他の海藻で行なわれているRAPD法によるDNA解析の方法を比較検討するところまで進んだ.来年度はDNA解析を中心に研究を行なう.
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