1998 Fiscal Year Annual Research Report
寒天原藻オゴノリ属の帰化種の分布と分子系統学的研究
Project/Area Number |
09660203
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大野 正夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
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Keywords | オゴノリ類 / セイヨウオゴノリ / ヨレオゴノリ / 紅藻 / 分子系統分類 / 帰化植物 |
Research Abstract |
寒天原藻オゴノリ属の帰化種とされているG.lemaneiforumisはセイヨウオゴノリ,G.coronopiforiaはヨレオゴノリと和名が今春出版された吉田著"新日本海藻誌"に記載された.この種の記載には筆者の意見が取り得れられた.今年度の調査で,セイヨウオゴノリは,新たに瀬戸内海の3カ所,千葉県,三河湾から標本を得たが,徳島県,高知県沿岸の生育が極端に悪くなり,有明湾でもセイヨウオゴノリは激減した.これらの結果から,この種の生育は異常発生的特性があるが,減少する傾向も著しいことが確認された. ヨレオゴノリは,新たに八丈島から標本を得たが,形態は神奈川県で採取されたものより小形で,主枝がはっきりせず形態がかなり異っていた.神奈川産のヨレオゴノリは,すでに3年間,土佐湾で野外養殖をしているが,周年生育し,冬に良く生長するが,八丈島産ヨレオゴノリは,夏に生長が良く生理的特性が異なった.今回,ヨレオゴノリは形態・生態特性から2つのタイプに分けられることがわかった. これらのオゴノリの試料からDNAを抽出することができ,RAPD法で解析すると,各地のG.lemaneiforumisのバンドは類似しているが千葉産のものが形態が類似しているが,バンドは異なった.また,セイヨウオゴノリと近縁のツルシラモとは異なるDNAバンドを示した.ヨレオゴノリは,DNAバンドからも二つのタイプに分かれることがわかった.
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