Research Abstract |
紅藻のオゴノリ属の帰化種で,柱状の藻体はG.lemaneiforumisセイヨウオゴノリ,扇状の藻体はG.coronopiforiaヨレオゴノリと1998年に出版された吉田著"新日本海藻誌"に記載された。セイヨウオゴノリは,3年間のこのプロジェクト調査で,有明湾,大分県国東半島,広島湾,兵庫県沿岸,愛媛県西条など瀬戸内海沿岸各地,徳島県の吉野川,那賀川河口,土佐湾,三河湾,千葉県から標本を得たが,東京湾より北の沿岸では,確認出来なかった。セイヨウオゴノリには,主軸が赤い藻体と緑色の藻体が確認された。赤い主軸のものは,最近,山本(1998)によってベニオゴノリと和名が新たにつけられた。この3年間の調査で,セイヨウオゴノリは,繁茂が年度によって著しく変動することがわかった。日本で,最近,食用に採取されているオゴノリの多くが,セイヨウオゴノリであることが明らかになった。 ヨレオゴノリは,1997年に浜名湖で採取されたが,1999年の調査では消失しており,ヨレオゴナリは,生育が安定しない仲間であることがわかった。ヨレオゴノリは,3年間の各地の調査で確認されたところは,神奈川県城ケ島と千葉県館山とに八丈島の3カ所で,分布域が狭いことが明らかになった。これらの帰化種と思われるオゴノリの試料からDNAを抽出することができ,RAPD法で解析すると,セイヨウオゴノリされる土佐湾産,徳島産,広島産,千葉産のDNAのバンドは酷似していた。従って,形態で判定してきたセイヨウオゴノリはDNA解析の結果と一致した。また,ベニオゴノリとして主軸が赤い藻体も主軸が緑色のセイヨウオゴノリと同じDNAバンドであり,同種とした方が良いことがわかった。ヨレオゴノリは,神奈川産と八丈産とはDNAバンド異なり二つのタイプに分かれることがわかった.
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