1998 Fiscal Year Annual Research Report
養液栽培法の原理に基づく東南アジア低湿地での新しい野菜栽培技術の開発
Project/Area Number |
09660281
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北宅 善昭 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (60169886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 宏昭 大阪府立大学, 農学部, 講師 (50173208)
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Keywords | 養液栽培 / 低湿地 / 野菜栽培 / サツマイモ / ニンジン / 土壌通気性 |
Research Abstract |
本研究は、熱帯、亜熱帯域の未利用の低湿地で根菜類の栽培を行うための根域ガス環境改善法の開発を目的としたものである。 (1) 低湿地園場において、土壌の通気性を高めるために、土壌畝内に有孔プラスチックパイプを埋設した通気区と、通気区と同様の形状の畝をもつ対称区を設け、両区でサツマイモ、ニンジンの生育特性および収量を比較した。通気区および対照区とも栽培期間を通じ、畝間を水深2cmに湛水し、湿潤状態とした。通気区でのサツマイモ塊根およびニンジン貯蔵根の収量は対照区の4.4および1.7倍になった。 (2) 低湿地園場において、土壌の通気性を高めるため、熱帯、亜熱帯地域において入手が容易な稲稾、麦藁、籾殻あるいは籾殻くん炭を塊として畝内に埋めた区(非混合区)、それらを土壌と混合した区(混合区)およびそれらを畝内に入れない区(対照区)を設け、サツマイモ、ニンジンを栽培した。畝間は水深2cmに湛水し、湿潤状態とした。サツマイモでは、籾殻くん炭が塊根の肥大に最も有効であり、籾殻くん炭非混合区の収量は全ての区の中で最大となり、対照区の6倍となった。ニンジンでは、籾殻くん炭非混合区の根長、根茎が最大となり、貯蔵根の乾物重は対照区の2倍となった。この結果は、個体あたりの葉面積が対照区の約2倍となり、単位葉面積あたりの純光合成速度が1.4倍に増加したことが一因である。また、籾殻くん炭非混合区の畝内CO2濃度は、対照区の1/2となり、根域ガス環境が改善された。 (3) 籾殻くん炭の最適埋設量について検討した。畝の中央部に畝の断面積の約20%の籾殻くん炭を塊として埋設することによって、最大の収量が得られた。 (4) 以上、低湿地園場において、籾殻くん炭を土壌と混合せずに塊として畝内に埋めることによって、根域土壌の通気性が改善され、サツマイモおよびニンジンの収量が高まることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)