1997 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素による換気応答を構成する神経回路の発達にともなう可塑性
Project/Area Number |
09670038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
林 文明 千葉大学, 医学部, 助教授 (80173029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 教授 (10009649)
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Keywords | 低酸素による換気応答 / 神経回路 / 発達にともなう可塑性 / 呼吸調節 |
Research Abstract |
周産期(出生2日前から出生後4週間)に高酸素暴露により頚動脈小体経由の低酸素刺激を遮断すると、成熟後に低酸素・換気応答が不可逆的に障害されるという仮説を設けた。 Wistar系ラットを、周産期(出生2日前から出生後4週間)に高酸素暴露した群(60-70%、n=4)と空気環境下で飼育した群(対照群、n=5)に分割した。高酸素暴露群は4週間以後は空気環境下の飼育に切り替え、両群とも9-12周齢で実験に用いた。 ハロセン麻酔(0.7%)動物を用い、ニューモタコグラフを用いて換気諸量(分時換気量:V_E、ー回換気量:V_T、呼吸数:f)を測定した。4種類の酸素濃度(40、21、15、10%)ガスを吸入させ、最低4分間以上経過してから換気量を測定し、同時に大腿動脈に挿入したカテーテルより動脈血を採血し(0.2ml)、分析した。低酸素・換気応答は、吸入酸素濃度を40%から10%に低下させたときの換気量の変化量(△V_E/100g)を用いて評価した。 V_E/100g、V_T/100gやfは両群間に差はなく、また空気吸入下(21%O_2)での動脈血炭酸ガス及び酸素分圧(P_<aco2>とP_<ao2>)にも有意差を認めなかった。低酸素ガス(15と10%)吸入時の換気諸量(V_E/100g、f)は高酸素暴露群では対照群に比較して有意に小さかった(P<0.05)。低酸素に対する換気応答性△V_E/100gは、高酸素暴露群では対照群に比べて45%減弱した。 高酸素より頚動脈小体由来の活動が長時間機能的に遮断されたために招来されたために低酸素・換気応答が減弱した。発達初期の高酸素暴露による頚動脈小体の機能的遮断により、低酸素・換気応答を構成する神経系の発達可塑性に伴う変化が発生したためと推測された。
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[Publications] McCrimmon DR etal: "Modulation of the synaptic thine to respiratory premotor and motor neurons." Respir physiol. 110. 161-176 (1997)
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[Publications] Aouda A.etal.: "Anivitre brainstem-spinalcord-heart preparation of the neonatal rat with intact vagus nerve." Jap.J.Physiol. 47. 256-266 (1997)