1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体外オキシトシン細胞にみられる乳汁射出時突発性発射に類似した活動に関する研究
Project/Area Number |
09670068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
根来 英雄 福井医科大学, 副学長 (90018903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 和正 福井医科大学, 医学部, 助教授 (50143946)
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Keywords | 乳汁射出反射 / オキシトシン細胞 / burst発射 / ノルアドレナリン / フェニレフリン / スライス標本 / 視索上核 / 同期的発射 |
Research Abstract |
ラットにおける乳汁射出反射では、まず、乳仔が母親の乳首に加える吸啜刺激に反応して、オキシトシン細胞が突発的に2-3秒間の高頻度発射(burst発射)を起こす。このオキシトシン細胞の活動に伴って、下垂体後葉からオキシトシンが分泌され、そのオキシトシンの作用により乳腺から乳汁が射出される。本研究では、このオキシトシン細胞の活動が、神経伝達物質によって誘発される内在性の機能であるかどうかを確かめようとするものである。本年度は、ノルアドレナリンのα1アゴニスト,フェニレフリンを用いてin vitroの実験でも、乳汁射出時と同じ高頻度発射をオキシトシン細胞が示すか否かを検討した。 26匹のラットを用いて、視床下部のスライス標本を作製し、視索上核に微小ガラス電極を刺入して、100個の単位発火活動を記録した。さらに、その中の41個のニューロンを発火パターンからオキシトシン細胞と判定した。まず、1時間のコントロール記録を行ったが、その間には、高頻度発射を示したニューロンはなかった。10^<-8>M〜10^<-5>Mのフェニレフリンを含む溶液で潅流したところ、数分後(5.5±1.4min)、高頻度発射が39%のオキシトシン細胞に現れた。その高頻度発射の平均振幅は26±3.0スパイク、持続は2.7±0.6秒で、6.3±1.9秒の後抑制が認められた。高頻度発射の間隔は不規則で(0.5〜10min)、30分のフェニレフリンの潅流にも拘わらず高頻度発射の発現は1回のみの場合がしばしばあった。4対のオキシトシン細胞の同時記録に成功したが、いずれの対においても、高頻度発射は非同期的に発現した。 以上の結果から、乳汁射出反射時のオキシトシン細胞の高頻度発射の発現機構の少なくとも一部はオキシトシン細胞に内在する性質によることが示唆された。しかし、その高頻度発射を同期化させる機構は、視索上核の外に存在する事が明らかとなった。
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