1998 Fiscal Year Annual Research Report
発熱物質による発熱反応とACTH反応への脳内アンギオテンシンIIの関与〜アンギオテンシンII type2 receptor knockout mouse及び正常マウスを用いた検討〜
Project/Area Number |
09670071
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渡邊 達生 山口大学, 医学部, 助教授 (60182929)
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Keywords | アンギオテンシンII / アンギオテンシンII受容体 / ストレス / ノックアウトマウス / 発熱 |
Research Abstract |
平成9年度はアンギオテンシンII2型受容体(AT_2 receptor) knockout mouseの体温がcontrol mouseのそれより低いことを明らかにした。すなわち、AT_2 receptorが体温調節機構に積極的に関与している可能性が示唆された。平成10年度はストレス高体温へのAT_2 receptorの関与について検討を行った。その結果、 1) knockout mouseとcontrol mouseの腹腔内にインターロイキン1を投与するとknockout mouseの方がcontrol mouseより低い発熱反応を示した。 2) 両群のマウスの腹腔内に生理食塩水を投与するとknockout mouseの方がcontrol mouseに比べて高い体温上昇反応を呈した。 3) 両群のマウスにケージ交換ストレスを負荷するとknockout mouseの方がcontrol mouseに比べて高い体温上昇反応を呈した。 以上の結果より以下の可能性が示唆される。 1) 炎症ストレスによるマウスの発熱発現には脳内のAT_2レセプターが重要な役割を果たしている。ラットの脳内へのAT_2レセプター拮抗薬の投与により発熱が抑制された事実がこの考えを支持する。 2) その他の非炎症ストレス(腹腔内生理食塩水投与やケージ交換ストレス)による高体温はAT_2レセプターにより抑制されている。あるいは、非炎症ストレスによるラットの高体温反応がAT_1レセプター拮抗薬の脳内投与により抑制されたことから、knockout mouseではAT_1レセプターの機能が強調されて体温上昇反応が亢進した可能性も想定される。 以上のスペキュレーションはAT_2レセプターが過度に発現したtransgenic mouseを用いてさらに検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)