1998 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質と血管平滑筋収縮シグナリングに関する研究
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09670100
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河辺 眞由美 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90117862)
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Keywords | 腸管平滑筋 / Rho / Rock / Rho kinase / Translocation / Contraction / Lysophosphatidic acid / ACh / High K^+ |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質Rhoは、収縮薬刺激による血管平滑筋収縮過程において、GTP結合型の活性化Rhoとなって細胞質から膜に移動し、一定のCa^<2+>濃度による収縮反応を増強する機能に関与していることが明らかになっている。Rhoの標的蛋白質ROCK/Rhoキナーゼの阻害薬(Y-27632)は、血管平滑筋のスキンド標本においてGTPγSによるCa^<2+>感受性増加作用を抑制することがわかってきた。 本年度は、消化管平滑筋収縮機構に低分子量G蛋白質Rhoの活性化が関係しているかどうかを調べることを目的とした。モルモット回腸平滑筋縦走筋標本を用いて、収縮薬(アセチルコリン(ACh)とhighK^+溶液)及びリゾフォスファチジン酸(LPA)による収縮反応に対するY-27632の効果並びに収縮反応中のRhoの細胞内局在を検討した。 1) ACh(1μM)、LPA(10μM)による収縮反応は、Y-27632(lμM)前処置により有意に抑制されたが、AChの場合は一時的(投与後2分のみ有意)であった。 2)high K^+(50mM)による収縮反応は、Y-27632(1μM)前処置により全く抑制されなかった。 3) ACh(1μM)、LPA(10μM)投与後、1分と10分で細胞質画分のRhoは減少していたが、膜画分のRhoには変化は認められなかった。 4) highK^+(50μM)投与後1分で、細胞質画分のRhoは減少し、一方膜画分のRhoは増加していた。 以上の結果は、モルモット回腸平滑筋で、収縮薬(AChとhigh K^+溶液)、及びLPA刺激によりRhoのtranslocationがひきおこされることを示していた。しかし、AChとhighK^+溶液による収縮反応に対してROCK/Rhoキナーゼの特異的阻害薬はほとんど抑制しなかったことから、モルモット回腸平滑筋収縮機構におけるRhoの関与は少ないことが示唆された。
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