1997 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼファミリーの活性化機構と心血管障害における役割-in vivoでの検討-
Project/Area Number |
09670101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
光山 勝慶 (金 勝慶) 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10195414)
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Keywords | アンジオテンシン / 心肥大 / 血管肥厚 / MAPキナーゼ / 高血圧 / バルーン障害 / 転写因子 |
Research Abstract |
mitogen-activated protein kinase(MAPK)は細胞増殖や遺伝子発現調節に中心的役割を演じているが、循環器疾患での役割は不明である。そこで、心肥大や血管肥厚の分子機序を明らかにするために、高血圧ラット、頚動脈バルーン障害ラットの心血管系組織におけるMAPKの活性化の機序および役割を検討した。 1 遺伝性高血圧ラット(SHRSP)では正常血圧ラットに比し心臓や大動脈において、MAPKに属するERK及びJNK活性が慢性的に増加している。そこで、各種降圧薬すなわちAT1受容体拮抗薬、交感神経α受容体遮断薬、β受容体遮断薬、ヒドララジン、カルシウム拮抗薬を投与し、左心室と大動脈のMAPK活性への影響を比較検討した。心臓においてはJNK活性の増加は主としてAT1受容体を介しており、JNK活性の亢進は転写因子AP-1活性の増加及び心肥大の進展に関与することを示唆する成績を得た。一方、ERK活性の増加は心肥大に関与しない可能性がある。心臓とは対照的に、大動脈においてはJNKよりもERKが血管の肥厚に重要であり、SHRSPの血管でのERKの増加は主として血圧上昇に由来することがわかった。 2 AT1受容体拮抗薬とトラニラストはバルーン障害による血管肥厚を抑制することから、臨床での応用が期待されている。今回、その血管肥厚の抑制機序へのMAPKの関与を調べた。ラットの頚動脈をバルーン障害するとERK、JNK、P38が5分をピークに著明に活性化されるが、AT1拮抗薬はERKとJNK両方の活性化を抑制し、さらに転写因子AP-1活性も抑制した。一方、トラニラストは、ERKの活性化のみ抑制し、JNKやAP-1活性は抑制しなかった。従って、AT1受容体拮抗薬とトラニラストの血管肥厚抑制の分子機序はかなり異なることがわかった。また、トラニラストと比較して、AT1受容体拮抗薬による血管肥厚抑制にはMAPKの抑制がより重要と思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kim et al.: "Extracellular signal-regulated kinase and c-jun・・・・" Biochem Biophys Res Commun. 236. 199-204 (1997)
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[Publications] Izumi et al.: "Cardiac mitogen-activated protein kinase activities・・" Hypertension. 31. 50-56 (1998)
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[Publications] Kim et al.: "Angiotensin blockade inhibits activation of ・・・・・" Circulation. (印刷中).