1998 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼファミリーの活性化機構と心血管障害における役割-in vivoでの検討-
Project/Area Number |
09670101
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
光山 勝慶 (金 勝慶) 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10195414)
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Keywords | MAPキナーゼ / バルーン障害 / 血管肥厚 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
MAPキナーゼは、培養細胞での実験において、細胞の増殖、アポトーシス、遺伝子発現に重要な役割を演じている。既に、我々は、高血圧ラットの大動脈や、ラットの頚動脈のバルーン障害モデルにおいて、MAPキナーゼ活性が亢進していることを証明している。そこで、本研究では、血管障害の成因におけるMAPキナーゼの活性化の役割について検討した。ラットでの頚動脈のバルーン障害モデルにおいて、PD98059(ERKカスケードの特異的阻害薬)をplur onic gelを用いて血管局所に投与し、その効果を検討したところ、平滑筋細胞の増殖(BrDuの免疫染色で定量)、アポトーシス(TUNEL法による定量)を抑制せず、また、血管内膜肥厚も抑制しなかった。しかし、PD98059投与によりバルーン障害5分後のERK活性は抑制されていなかったことより、PD98059はin vivoではERKの活性化を十分に抑制できないことがわかった。そこで、ATP結合部位のアミノ酸置換により作製したERKのdominant negative mutant(DN-ERK)をHVJ-リポソームに封入し、頸動脈内から血管へ遺伝子導入し、頚動脈のバルーン障害を行った。DN-ERK導入により、ERKの活性化は抑制されバルーン障害後の内膜肥厚は著明に抑制された。また、JNKのdominant negative mutant(DN-JNK)を同様に遺伝子導入したところ、JNKの活性化は抑制され、バルーン障害後の血管内膜肥厚も抑制された。しかし、DN-ERKとDN-JNKは転写因子AP-1とATF-2の活性を抑制しなかった。一方、SB203580(p38の特異的阻害薬)投与は、p38の活性化を抑制したが、血管平滑筋の増殖、アポトーシス、内膜肥厚に影響を与えなかった。以上から、ERKとJNKの活性化は、血管肥厚に重要な役割を演じていると思われる。今後、ERKとJNKによる血管肥厚の詳細な機序を解明することは、血管病の解明に極めて重要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yano et al.: "Differential activation of cardiac c-jun amino-・・・・" Circ Res. 83. 752-760 (1998)
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[Publications] Kim et al.: "Activation of mitogen-activated protein kinases ・・・" Jpn J Pharmacol. 印刷中.
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[Publications] Hamaguchi et al.: "Contribution of extracellular signal-regulated ・・・・・" Hypertension. 印刷中.