1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内田 和彦 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90211078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
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Keywords | 難治癌 / 遺伝子 / CGH / 予後 / 神経芽腫 |
Research Abstract |
本年度は小児がんのひとつである神経芽腫を中心に解析を行った。神経芽腫は小児において高頻度に発生する悪性固形腫瘍であり、骨髄、肝臓、皮膚への転移を伴いながら自然消退するものもあれば、骨転移を伴い死亡するものもあり、多彩な臨床像を示す。組織学的には同一腫瘍ではあるが、自然消退するものと致死的な神経芽腫とでは、その発生の生物学的メカニズムが異なる可能性が考えられている。本研究では、自然消退を示す神経芽腫と進行神経芽腫の腫瘍発生における分子生物学的な違いを明らかにすることを目的として、全染色体上における遺伝子の増幅、欠失部位を一度に解析できるComparative Genomic Hybridization(CGH)法を用いて、自然消退例が多い一歳未満の乳児例とマススクリーニングによる発見症例(マススクリーニング症例)を中心に神経芽腫67例の遺伝子変化の解析を行った。その結果、臨床像の違いによって異なるCGHプロファイルを示すことを見い出した。予後不良例全例において、成人のがんで認められるような染色体上の部分的な増幅や欠失が多数認められた。一方、マススクリーニング症例の75%では、染色体上に部分的な増幅や欠失は認められず、すべての染色体でCGHプロファイルは直線的で、染色体上に部分的な異常を示す部位はなく、変化は各染色体全領域に認められるwholeパ夕一ンを示した。とくに自然消退例では全例でこのwhdeパターンであった、またwholeパターンを示した39例はすべてstagel-3と4Sであった。本研究は、自然消退を示す神経芽腫が多いマススクリーニング症例をCGH法を用いて初めてゲノムワイドに解析したものである。予後不良例における部分的な遺伝子異常は成人のがんでも通常認められ、発がんに伴うがん関連遺伝子の異常が示唆される。一方、部分的遺伝子異常を伴わない自然消退例では、がん関連遺伝子の異常ではなく、異なる機構が腫瘍性増殖に働いている可能性が考えられた。今後、神経芽腫の腫瘍発生における分子生物学的背景の違いを明らかにしていくためには、今回明らかになった2種類のCGHプロファイルパターンが遺伝子レベルでの変化が何を意味するのかを明らかにする必要がある。さらに本研究におけるCGHプロファイルパターンと予後との関係が明らかになれば、CGHによる遺伝子解析が、診断時における適切な治療の指標になると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirai,M.,et al.: "lq23 amplification is associated with the progressive disease of neuroblastomas resistant to an aggressive treatment." Genes,Chromosomes and Cancer. (in press). (1999)
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[Publications] 平井 みさ子,et al.: "CGHを用いた神経芽腫の遺伝子解析" 日本小児科外科学会雑誌. 34. 1167-1174 (1998)
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[Publications] Maeda,N.,et al.: "Inhibition of human T-cell leukemia virus type 1 replication by antisense env oligodeoxynucleotide." Biochem.Biophys.Res.Commun.243. 109-112 (1998)
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[Publications] Fang,J.,et al.: "Transmission of human T-cell leukemia virus type 1 to mice" J.Virol.72. 3952-3957 (1998)
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[Publications] Ishikawa,T.,et al.: "Expression of α-fetoprotein and proetate-specific antigen genes in several tissues and detection of mRNDs in normal circulating blood by reverse transcriptase-polymerase chain reaction." Jpn.J.Clin.Oncol.28. 723-728 (1998)