1997 Fiscal Year Annual Research Report
サイトトキシン変換ファージの進化と毒素遺伝子の水平伝播に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
09670277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 哲也 信州大学, 医学部, 助教授 (10173014)
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Keywords | サイトトキシン / バクテリオファージ / 分子進化 / ゲノムシークエンス |
Research Abstract |
(1)ファージゲノムの制限酵素地図の作成;PS21とΦPS7の制限酵素地図を作成した。ΦPAS1については、分離してあったファージは別のファージであることがわかったため、再度ファージの分離を試みた。2株のファージが得られたが、どちらもΦCTXと関係のないファージであったため、今後はプロファージの状態で解析を行うこととした。 (2)ファージゲノム間の相同性と血清学的関係;サザーン法によりファージゲノム間の相同性解析行ったところ、PS21・ΦPS7・ΦPAS1はいずれもΦCTXと高い相同性を示し、非常に狭い領域のみが異なることが示唆された。しかし、P2ファージとはサザーン法によって検出できるだけの相同性は認められなかった。また、P2ファージと緑膿菌の各ファージとRピオシンの間には血清学的関係は認められなかった。 (3)ΦCTXファージの全ゲノム配列;35kbのΦCTXファージDNAの全塩基配列を決定した。その配列をもとにORF検索を行い、GC含量・コドン使用頻度・ホモロジー検索を行った結果、late genesの大部分はP2ファージのものと高い相同性を示し、ΦCTXがP2ファミリーの一員であることが明らかになった。また、大部分の遺伝子は宿主である緑膿菌に良く馴化していること、early gense・lysis genes・tail genesはP2と異なっていること、毒素遺伝子以外にも複数の遺伝子をどこからか獲得していることなど、多くの興味ある知見が得られた。 (4)ファージ粒子構成蛋白質の同定;現在、CsCI密度勾配により精製したΦCTXの各構成蛋白質のアミノ酸配列の決定を行っており、既に大部分の構成蛋白質を同定できた。ゲノム配列情報から推測されたORFの発現が確認されただけでなく、ファージ粒子形成に伴うの構成蛋白質のプロセッシングなどについての興味ある知見が得られている。
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