1997 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ組織の形成および接触性過敏反応におけるリンホトキシンの役割(ノックアウトマウスを用いた解析)
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09670478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松本 満 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60221595)
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Keywords | リンホトキシン / ノックアウトマウス / リンパ組織 / 胚中心 / 濾胞樹状細胞 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
リンホトキシン(LT)は活性化リンパ球により産生されるサイトカインであるが、構造上の相同性から、腫瘍懐死因子(TNF)と類似の細胞傷害性因子とみなされてきた。しかしながら、gene targetingを用いて作製したLT欠損マウスでは脾臓に胚中心が形成されないことから、LTがリンパ組織の細胞構築に関わるユニークな作用をもつことが明らかになった。さらに、LT欠損マウスでは脾臓における濾胞樹状細胞(FDC)の集塊が欠如していることから、このマウスにおける胚中心欠損の主な原因であると考えられる。そこで、本研究では骨髄移植の実験により、LT欠損マウスにみられるFDC欠損の原因を解析した。 これまでの検討から、LT欠損マウスでは正常マウスの骨髄細胞の移植により、脾臓における胚中心の形成が回復してくることを明らかにしているが、FDC集塊と胚中心形成の関連を検討するため、こうして胚中心の形成が回復したLT欠損マウスでは、FDC集塊の形成も回復していることを免疫組織染色により確認した。次に、回復したFDC集塊がdonor由来か、あるいはrecipient由来であるかを明らかにするため、補体レセプター(CR)欠損マウスの骨髄細胞を用いて同様な骨髄移植を行った。すなわち、LT欠損マウスにCR欠損マウスより採取した骨髄細胞(LTの産生は正常)を移植し、脾臓におけるFDC集塊の形成の回復を抗CR抗体を用いた免疫染色によって検討したところ、FDC集塊が陽性に染色され、回復したFDC集塊がLT欠損マウス(recipient)由来であることがわかった。このような成績は、LT欠損マウスにみられるFDC集塊の欠如がFDC系列の細胞(FDC lineage)そのものが欠如しているためではなく、LTの欠損によってFDC前駆細胞の分化・成熟あるいはその後の細胞構築が正常に起こらないためであることを示しており、LTが胚中心の主要な構成細胞であるFDCの構築を誘導する作用をもった新しいタイプのサイトカインであることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsumoto M.et al.: "Abrogation of the alternative Complement pathway by targeted deletion of murine factor B." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 94. 8720-8725 (1997)
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[Publications] Matsumoto M, et al.: "Distinct roles of lymphotoxin-α and the type I tumor necrosis factor (TNF) receptor in the establishment of FDC from non-bone marrow-derived cells." J.Exp.Med.186. 1997-2004 (1997)
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[Publications] 松本 満: "リンホトキシンとそのレセプター" Molecular Medicine. 34・10. 1244-1253 (1997)
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[Publications] Matsumoto M, et al.: "Lymphotoxin-α-deficient and TNF receptor-I-deficient mice define developmental and functional characteristics of germinal centers." Immunol.Rev.156. 137-144 (1997)
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[Publications] Fu Y-X, et al.: "Independent signals regulate development of primary and secondary follicle structure in spleen and mesenteric lymph node." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 94. 5739-5743 (1997)
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[Publications] Fu Y-X, et al.: "Lymphotoxin-α (LTα) supports development of splenic follicular structure that is required for IgG responses." J.Exp.Med.185. 2111-2120 (1997)