1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチにおける抗カルパスタチン抗体の臨床的・病因的意義とその治療応用
Project/Area Number |
09670492
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三森 経世 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10157589)
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Keywords | カルパスタチン / カルパイン / 自己抗体 / 慢性関節リウマチ / プロテアーゼインヒビター / カルシウム依存性中性プロテアーゼ / コラーゲン誘発関節炎 |
Research Abstract |
【目的】我々はカルパイン(カルシウム依存性システインプロテアーゼ)の特異阻害蛋白カルパスタチンに対する自己抗体が慢性関節リウマチ(RA)に検出されることを報告してきた。カルパインは軟骨破壊や炎症惹起に関与する中性プロテアーゼの一種と考えられるため、その阻害蛋白であるカルパスタチンに対する自己抗体の存在はRAの病態に関与する可能性がある。本年度はRAモデル動物におけるカルパイン阻害薬の効果を検討した。 【方法】ラットカルパスタチンペプチド(ドメインIVのカルパイン結合部位を含む合成27アミノ酸)(2mg/kg)、ロイペプチン(3mg/kg)、カルペプチン(3mg/kg)、E-64-d(3mg/kg)、および対照薬剤としてデキサメサゾン(0.1mg/kg)を用いた。Lewis系ラット(7週齢)にウシII型コラーゲン(1.5mg/ml)とComplete Freund Adjuvandの超音波エマルジョン1mlを皮下注し、10日目に追加免疫した。経時的に後肢の足容積を測定し、関節炎の指標とした。カルパインインヒビターは0日目より21日目まで上記の用量で1日1回腹腔内投与した。 【結果】II型コラーゲン免疫ラットは12日目より関節炎を発症し、14日目には全例で関節炎が認められた。カルペプチン投与ラットでは、後肢足浮腫の発現は有意に減少しており(13日目64%、17日目50%、21日目30%抑制)、関節炎発症の抑制効果が確認された。また、組織像においてもカルペプチン投与ラットでは滑膜増殖や骨軟骨破壊の程度が軽度であった。これに対し、カルパインペプチド、ロイペプチン、E-64-dでは、有意の関節炎抑制効果は認められなかった。 【考察】カルパインインヒビターであるカルペプチンにコラーゲン誘発ラット関節炎の抑制効果が認められた。今回の成績は予備的研究の段階であるが、カルパイン阻害薬が関節炎の治療に用いられうる可能性を示した初めての成績である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirakata M,Mimori T,et al: "Anti-KS:Identification of autoantibodies to asparagyl-transfer RNA synthetase associated with interstitial lung disease"J Immunol. 162(4). 2315-2320 (1999)
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[Publications] Hattori N,Mimori T,et al: "Identification of autoreactive T cells to β2-glycoprotein I that mediate antiphospholipid antibody production"Arthritis Rheum. 43(1). 65-75 (2000)
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[Publications] Mimori T: "Autoantibodies in connective tissue diseases"Intern Med. 38(7). 523-532 (1999)
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[Publications] Kanazawa Y,Mimori T,et al: "Domain reactivity of autoantibodies to calpastatin in patients with systemic rheumatic diseases"Mod Rheumatol. (in press).
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[Publications] 三森経世: "自己抗体測定法と自己抗原分析の進歩"日本臨床「広範囲血液・尿化学検査(第5版)」. 57(増刊号). 379-385 (1999)
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[Publications] 三森経世: "自己抗体と病態形成"Modern Physician. 20(1). 31-34 (2000)