1997 Fiscal Year Annual Research Report
カテプシンEの膵癌特異的発現機構と病態における作用機序の解析
Project/Area Number |
09670525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
東 健 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60221040)
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Keywords | カテプシンE / 膵癌 |
Research Abstract |
ペプシノーゲンA、ペプシノーゲンC、カテプシンD、レニンと同じ酸性プロテアーゼの一つであるカテプシンEの生理的機能は、細胞内プロテアーゼで、胃以外に免疫系組織に主に存在することから、免疫機構、特に抗原形成に関与していると考えられているが、いまだ不明である。カテプシンEの生理機能の解明のためにも、カテプシンEの病態との関連を検討したところ、免疫組織化学的解析で、カテプシンEが膵管細胞癌の100%(15例)に発現していることを認めた。正常膵では免疫組織化学的、酵素学的にも検出されず、膵でのカテプシンEの発現は癌特異的であった。膵癌細胞株においても20株中80%の15株にカテプシンEの発現が認められた。また、膵癌細胞株由来のカテプシンEは、ウエスタンブロットにおいて、分子量が84kDaと正常(82kDa)に比べ大きく、培地中にも多量に認められた。このことは、本来細胞内プロテアーゼであるカテプシンEが、膵癌では糖鎖の異常を来すなど高分子を形成し、細胞内分布が変り、細胞外に放出されると考えられる。膵癌で細胞外に放出されるカテプシンEは、癌浸潤などの病態に関与することが考えられる。さらに、enzyme immunosorbent assay(ELISA)を確立し、膵癌患者の膵液中のカテプシンEを測定すると、膵液中のカテプシンEは膵癌の72.7%(8/11)と高率に存在し、慢性膵炎では9.3%(4/43)と低く、膵癌マーカーとして有効と考えられた。
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