1999 Fiscal Year Annual Research Report
特発性炎症性腸疾患の病変部局所における疾患特異的T細胞ならびに特異抗原の証明
Project/Area Number |
09670564
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 譽之 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10209637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 志郎 大阪市立大学, 医学部, 助手 (50271185)
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Keywords | クローン病 / 肉芽腫 / 特異抗原 / Th1 |
Research Abstract |
クローン病の病変部(特に、二次的な炎症や感染の影響が少ない初期病変部)における、病因特異抗原の存在および、特異的な免疫応答を明らかにすることを目的として、特に疾患特異的な反応の場と考えられる、病変部の肉芽腫性病変での免疫応答を検討した。 その結果、クローン病の肉芽腫を含む粘膜固有層リンパ球のT細胞抗原レセプターの一次構造の解析から、一定のクローンの選択的な増殖が存在することが明らかとなった。また、肉芽腫の部位を中心とした粘膜固有層リンパ球のサイトカイン産生プロフィールを極めて微量なサンプルからのmRNAの定量性に優れた方法である、TaqMan PCR法により検討した。クローン病ではIL-12mRNAのupregulationが特徴的であり、この結果は、緩解状態にある粘膜でも再現され、本症の本態に重要と考えられた。一方潰瘍性大腸炎からえた粘膜固有層リンパ球の検討ではIL-4・IL-5などのTh2系のサイトカインmRNAのupregulationが特徴的であった。 このようなサイトカイン産生細胞の局在について酵素抗体法を用いた免疫組織化学的検討を行ったところ、クローン病の肉芽腫において、IL-12・IL-2・IFN-γなどのTh1系のサイトカイン産生細胞が著明に増加していた。特に肉芽腫の主たる構成細胞である類上皮細胞や多核の巨細胞においてはIL-12の著しい産生が確認された。一方Th2系のサイトカインであるIL-4やIL-10は肉芽腫周囲においてほとんど産生が見られなかった。同一例の形容形成部においてはこれらのサイトカイン産生細胞の増加が確認されたことから、このような変化は肉芽腫に特徴的であることが明らかとなった。 以上より、クローン病の肉芽腫においては疾患に関連した少数の抗原に対するTh1細胞の強い誘導活性化が存在することが明らかとなり、これが本症の病態形成に重要な関与をしていると考えられた。
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[Publications] 神野良男、松本誉之、中村志郎 他: "クローン病肉芽種におけるリンパ球の活性化に関する免疫組織化学的研究"消化器と免疫. 36. 25-27 (1999)
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[Publications] Oshitani N, Matsumoto T. Nakamura S, et al.: "Down-regulation by bucillamine of lamina propria leukocytes in the rat colitis model"Clin. Exp. Pharmacol. Physiol.. 26. 956-958 (1999)
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[Publications] Kakazu T, Hara J, Matsumoto T, Nakamura S, et al: "Type-1 T-helper cell predominance in granulomas of Crohn's diseuse"Am. J. Gastroenterol. 94. 2149-2155 (1999)
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[Publications] 原 順一、嘉数朝政、松本誉之 他: "クローン病の肉芽腫におけるTh1細胞の優位性について"Progress in Medicine. 19. 1584-1585 (1999)
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[Publications] 中村志郎、松本誉之 他: "特発性炎症性腸疾患病変粘膜におけるリンパ管動態に関する免疫組織化学的研究"消化器と免疫. 36. 90-93 (1999)