1997 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎患者血清中の抗セレノシステインtRNA抗体
Project/Area Number |
09670579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松藤 民子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00199845)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / 自己抗体 / セレノシステイン / tRNA / 酵素免疫測定法 / エピトープ解析 |
Research Abstract |
1.自己免疫性肝炎患者における抗セレノシステインtRNA(tRNA^<Sec>)抗体の出現と陽性者の特徴 12症例の自己免疫性肝炎患者について抗体の有無を検討した。女性11名、男性1名、年齢48-82歳で、いずれも抗核抗体陽性であった。5例(42%)の血清中にtRNA^<Sec>-蛋白質因子複合体を免疫沈降する自己抗体が検出された。またこの5例中3例に試験管内合成tRNA^<Sec>を沈降する自己抗体(直接型抗体)を認めた。陽性者はいずれも女性で、年齢、肝障害の程度、他の自己抗体の出現、ステロイド治療への反応性などに特定の傾向はみられず、1年以上にわたる経過観察で抗体検出に経時的変化は認められなかった。検索した範囲では、健常者や他の自己免疫疾患や肝疾患患者からは、同様の自己抗体は検出されなかった。直接型抗体のうち 2 例はtRNA^<Sec>を沈降させるがtRNA^<Sec>_<IGA>とは反応せず、エピトープ解析の結果tRNA^<Sec>のDループ-TΨCループ領域の異なる高次構造を認識することがわかった。残りの1例の抗体はtRNA^<Sec>、tRNA^<Sec>_<IGA>の両者を共に沈降させた。 2.酵素免疫測定法の開発 直接抗体tRNA^<Sec>抗体を検出するため、biotin-14-CTPの取り込みによって標識した試験管内合成tRNA^<Sec>を抗原とするサンドイッチ法酵素免疫測定法を開発した。96ウェルマイクロタイタ-プレートにコートする 1次抗体に抗ヒト IgG、抗ヒト IgA、抗ヒト IgM のいずれかを用いることで、抗体のタイピングも同時に行った。発色はstreptoavidin-alkline phosphatase 複合体を用い、p-nitrophenolを基質とした。この方法でtRNA^<Sec>特異抗体を持つ症例について40-80倍希釈した血清50μ1中の抗体が検出可能であり、IgGタイプであることが判明した。
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