1998 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎患者血清中の抗セレノシステインtRNA抗体
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09670579
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
松藤 民子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00199845)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / 自己抗体 / セレノシステイン / tRNA |
Research Abstract |
1. 自己免疫性肝炎患者における抗セレノシスティン(Sec)tRNA抗体陽性者の特徴 本抗体陽性の自己免疫性肝炎(AIH)患者の5例について、2年以上にわたり経過観察を行った。すでに肝硬変に移行していた1例は抗体確認直後に死亡したが、他の4例は肝炎の活動性、抗体検出ともに経時的変化は認められなかった。AIH以外の疾患については、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、自己免疫性胆管炎(AIC)および高γ-グロブリン血症を伴う慢性C型肝炎患者血清について検討を行ったが、本抗体は検出されなかった。また最近AIH患者の約80%に核周囲型抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)が検出されるとの報告があり、我々の症例について市販の検出キットを用いて検討中である。なお血清は患者の承諾を得て採取した。 2. 抗Sec-tRNA抗体(間接型)の対応抗原についての検討 本抗体はSec-tRNA-蛋白質因子複合体を認識するがそのエピトープには多様性があり、Sec-tRNA-蛋白質因子複合体を沈降させ直接Sec-tRNAを認識しない抗体(間接型)と直接Sec-tRNAを認識する抗体(直接型)と少なくとも2種の異なる抗体が同定された。間接型抗体は複合体の蛋白質部分に結合しているものと考え、この蛋白質をヒト培養細胞抽出液のウェスタンブロット法および[^<35>S]-メチオニンラベル細胞抽出液の免疫沈降法で調べた結果、約50kDaのバンドが陽性血清に共通にみられ、この蛋白質はセレノシステイン特異的翻訳伸長因子である可能性がある。
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