1997 Fiscal Year Annual Research Report
温度覚閾値検査法を用いたsmall fiber neuropathyの病態解明
Project/Area Number |
09670673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡 尚省 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90194331)
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Keywords | 体性神経 / 神経伝導検査 / 皮膚温度感覚閾値検査法 |
Research Abstract |
体性神経のうち大径線維の障害の評価は神経伝導検査が有用であるが,痛覚や温度覚を支配する細い線維の障害を評価する方法は少ない.今回,熱エネルギーの指標である熱流(Heat Flux)を用いて皮膚温度感覚閾値検査法を開発し,冷覚と温覚の皮膚温度感覚閾値を別々に評価し検討した.対象は健常者20名(平均年齢49.0±11.7歳、男12名、女8名)と糖尿病患者22名(平均年齢58.0±11.4歳)である.方法は熱流センサーを埋め込んだ温度変化可能なぺルチェ素子を上肢の母指球に装着し,1秒間に0.2℃/sで温度を上昇あるいは低下させ,温感あるいは冷感を自覚するまでの熱流値Qを積分した.そして,冷覚と温覚の皮膚温度覚閾値を別々に評価し,温感閾値として温覚総熱流値(WHF),冷覚閾値として冷覚総熱流値(CHF:J/m)とした.結果は健常者のWHFの平均が40J/m^2,CHFは59J/m^2でCHFの方がWHFよりも大きな値を示す傾向にあったが差はなかった.年齢別の比較では,WHFは50歳未満と以上でともに40で差はなかった.CHFも50歳未満が62,50歳以上が55で差はなかった.健常者と糖尿病患者の比較では,健常者のWHFが40であるのに対して,糖尿病患者は115と有意に大きな値を示した.すなわち,糖尿病患者では温覚閾値の上昇が認められた.CHFも健常者が59であるにの対して,糖尿病患者では170であり有意に大きく,糖尿病患者で冷覚閾値の上昇を示唆していた.熱流を用いた新しい皮膚温度感覚閾値検査法を開発し温・冷覚の閾値をそれぞれ分けて評価した.有髄および無髄の小径線維の障害を別々に評価することが可能であると考えられる.
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