1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺疾患の画像診断学発展を目指した画像・病理の比較検討
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09670929
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 春海 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40026943)
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Keywords | 画像診断 / 高分解能CT / 3次元CT / 肺癌 / びまん性肺疾患 / 間質性肺炎 / 伸展固定肺 / 肺気腫 |
Research Abstract |
本研究では、各種肺疾患のCT所見と肺標本を対比させることによって、CTの読影技術の向上を目指している。この目的のために、伸展固定肺標本の実体顕微鏡による観察が非常に有用であることが確認された。手術で得られた標本は、気管支にホルマリン液を注入して伸展固定された。気管支が得られない場合は、細い注射針にて固定液を直接肺胞領域に刺入した。スライスされた標本を水に浸し、実態顕微鏡による観察と写真撮影を行った。正常肺胞領域が伸展されるため、病変部が容易に観察された。各種疾患で以下のような実体顕微鏡所見が得られた。 1.腺癌……高分化腺癌で、内部の充実部と周辺の含気に富む腫瘍部分が明瞭に区別された。後者は正常肺胞領域と肺胞隔壁の厚み、色調、硬度などの違いで区別できた。この手法は、標本内に10mm以下の小結節やAAHを発見する際に大いに役立った。その他、腫瘍内の壊死組織、粘液、のう胞、取り込まれた気管支・肺血管、リンパ管への浸潤などが観察できた。 2.肺気腫……肺癌を含む手術標本で肺気腫を観察した。初期病変は5mm以内の広がりで肺胞領域の破壊が見られ、それに関係する細気管支と小胞銅動脈が確認された。これらの病変は肺の2次小葉の中間域に分布し、小葉の中心にある細気管支・肺動脈の小葉の境界にある小葉間隔壁と肺静脈には接しなかった。これら細葉中心性肺気腫が拡大融合すると、隣接する2次小葉の境界近くの肺胞領域が帯状に残され、気種域を囲む不等辺多角形を呈した。 3.間質性肺炎……肺腔鏡下で採取された肺組織内に顕微鏡的蜂巣肺を確認するのに、実体顕微鏡が有用であった。顕微鏡的蜂巣肺は1mm以内の気腔と気腔壁の肥厚として捉えられた。他に粘液、浸出物の有無も観察された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nishimura Koichi: "Comparison of different computed tomography scanning methods for quantiting emphysime" J Thoracic Imaging. 13. 193-198 (1998)
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[Publications] Tsang,KWT: "Clinical profiles of Chinese patients with deffuse panbronchiolitis" Thorax. 53. 274-280 (1998)
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[Publications] Yokomise Hiroo: "Importance of intrapulmonary lymph nodes in the differential diagnosis of small pulmonary nodular shedons" Chest. 113. 703-706 (1998)
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[Publications] Kitaichi Masanori: "Pulmonary epithetioid haemangio endothelioma in 21 patients,including three with partial spontaneous regression" Eur Respir J. 12. 89-96 (1998)
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[Publications] Nagai Sonoko: "Idiopathic nonspecific interstitial preumonia Hiorosis comparison with idiopathic pulmonary fibrosis and BOOP" Eur Respir J. 12. 1010-1019 (1998)
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[Publications] 伊藤春海: "ARDS(DAD)の画像診断〜Radiologic-Pathologic Correlation〜" 臨床科学. 34. 715-721 (1998)
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[Publications] 人見滋樹: "肺の呼吸器(T診断の正常構造と病巣の立体的把握" 金芳堂, (1998)