1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系におけるセロトニンの機能に関する電気生理学的研究
Project/Area Number |
09671004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
田島 治 杏林大学, 医学部, 助教授 (40155073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 素子 杏林大学, 医学部, 助手 (20260870)
村田 慎一 杏林大学, 医学部, 助手 (30260871)
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Keywords | serotonin(5-HT) / hippocampal neuron / autapse / 8-hydroxy-dipropylamino-tetralin(8-OH-DPAT) / whole-cell patch-clamp recording / excitatory postsynaptic current(epsc) |
Research Abstract |
今年度はまずモルモット海馬スライスを用いてcurrent clamp法によりよりseoronin(5-HT)の作用を検討した。その結果5-HTは、海馬CA3細胞のシナプス後部5-HT1A受容体刺激により過分極作用を示すとともに、solow afterhyperpolarizationを抑制し興奮性を増強するという2相性の作用を示した。そこでさらにラットの海馬神経細胞をmicro-island法により培養して作成したautapseすなわち自己回帰性のシナプスを用いて、5-HTの作用を検討した。これを用いてwhole-cell patch-clamp法により興奮性シナプス電流(epsc)に及ぼす5-HT及び5-HT1A agonistである8-hydroxy-dipropylamino-tetralin(8-OH-DPAT)の作用を検討した。その結果5-HTをbath-application法によって10μM-100μMの濃度で投与したところepscが有意に抑制され、その平均抑制率は49.8%であった。さらに選択的な5-HT1A受容体のagonistである8-OH-DPATの投与でも同じく有意なepscの抑制作用が認められ、5-HTのepsc抑制作用が5-HT1A受容体を介した作用であることが示唆された。さらにこうした5-HTのepsc抑制作用がシナプス前部におけるglutamate放出抑制によるものか、シナプス後部の受容体感受性低下によるものかを、誘発epscの直後に生じるasynchronous epscの振幅解析により検討した結果、5-HTがシナプス前末端部における受容体に作用して、興奮性神経伝達物質の放出を抑制していることが強く示唆された。
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