1997 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンDによる遺伝子発現抑制の分子機構-新しいビタミンD抑制反応DUA配列
Project/Area Number |
09671033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 具樹 東京大学, 医学部附属病院分院, 講師 (60203973)
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体(VDR) / 副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP) / 遺伝子転写調節 / 核内ホルモン受容体 / Ku抗原 |
Research Abstract |
ヒト副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)遺伝子に存在するビタミンD抑制性DNAエレメント(nVDRE)はいわゆるダイレクトレピ-トのhalf siteのみを持ち、PTHやその他の、ビタミンDによって負の転写制御を受ける遺伝子にも広く認められる。私はこのDNA配列(nVDRE_<RP>)および相同の配列を2個持ち、ビタミンDによって転写促進を受けるラットオステオポンチンのVDRE(VDREop)を合成し、以下の結果を得た。 1)VDREopは、PTHrP遺伝子が内因性に発現されているリンパ球(MT2)細胞において、VDRとRXRαとの複合体を作り、ビタミンDによる転写促進を媒介するが、nVDRE_<RP>には、VDRとKu抗原が別個の部位に結合しビタミンDによる転写抑制が起こる。この時RXRαは関与しない。 2)サウスウェスタン法およびイミュノデプリーション法によると、VDRモノマーはnVDRE_<RP>と結合するがVDREopとは結合しない。 3)nVDRE_<RP>とVDRの結合はビタミンDによって抑制され、この抑制は脱燐酸化酵素処理で解除されることからビタミンDによるVDRの燐酸化がこの現象に関与する可能性がある。 4)Ku抗原によって、糖質コルチコイドによる転写促進が抑制される系が知られており、その抑制にはKu抗原のregulatory unitのDNA結合を介してリクルートされるDNA依存性蛋白キナーゼ(DNA-PK)による糖質コルチコイド受容体の燐酸化が関与している。VDRにもDNA-PKの基質モチーフが種を越えて保存されていることから、1リピート型のnVDREの異なる部位に結合するVDRおよびKu抗原の相互作用が、ビタミンDによる転写抑制機構の一つとして考えられる。
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[Publications] Nishishita,T., Okazaki,T., Ishikawa.T., et al.: "A negative vitaminD responsive DNA element in the human panarhyroid hormone-related peptide binds to vitaminD receptor along with Ku antigon…" J.Biol.Chem.273 (in press). (1998)