1998 Fiscal Year Annual Research Report
賢糸球体の発生・分化の分子レベルでの解明と糸球体再生へのアプローチ
Project/Area Number |
09671169
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北本 康則 熊本大学, 医学部, 講師 (80195297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 公夫 熊本大学, 医学部, 教授 (40114772)
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Keywords | Thy-1腎炎 / VEGF / 糸球体リモデリング |
Research Abstract |
糸球体修復におけるVEGFの役割増殖性腎炎のモデルであり内皮細胞傷害をともなうThy-1腎炎をラットで作成し、糸球体血管内皮細胞およびメサシギウム細胞の傷害と修復過程におけるVEGFの役割を解析した。6週齢の雄ウィスターラットにヒト組み変えVEGF蛋白を前投与した4時間後に、抗一Thy1抗体を投与し腎炎を惹起した。さらに連日3日間VEGFを投与した。メサンギウム細胞融解が起き内皮細胞傷害が始まる抗一Thy1抗体投与24時間後と、糸球体係蹄の変化が極期となる4日後、および病変修復が進行するがメサンギウム細胞の過増殖は残っている18日後の3点で、糸球体の変化を組織学的に検討した。コントロールとして、ウシ血清アルブミンを投与した後に抗一Thy1抗体を投与したものを用いた。VEGFの投与により24時間後の血管内皮細胞の破綻は抑制された。4日後にみられる糸球体係蹄のバルーニングは抑制され、メサンギウム細胞の増殖による再生が既にみられた。18日目にはコントロールでメサンギウム細胞の増殖が見られたが、VEGFを投与したラットでは糸球体の修復はほぼ完了した。Thy-1腎炎においてVEGFは血管内皮細胞を保護するとともに、糸球体係蹄とメサンギウムの修復を促進した。前者はストレスに対する内皮細胞の防御機構としても働くと考えられ、後者は残存内皮細胞によるメサンギウム細胞の刺激や、残存する係蹄構築を鋳型とした糸球体リモデリングの促進によると考えられた。
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