1999 Fiscal Year Annual Research Report
重症感染症におけるNOの細胞保護作用と障害作用の分岐点に関する研究
Project/Area Number |
09671265
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山上 和壽 関西医科大学, 医学部, 講師 (30210339)
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Keywords | アポトーシス / NO / TNF / SNAP |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)には細胞障害性と保護作用の二面性があるが、細胞保護作用については主としてin vivoの実験で多くの報告がある。一方、細胞障害性に関してはNOがミトコンドリア障害、肝蛋白合成阻害、またP450の活性を低下させるなどの報告がある。これまでに私どもは同じ実験モデルにおいてもNOにはその量的な差異によってアポトーシス抑制作用と細胞障害作用があることをとくにラット分離肝細胞において報告してきた。今回はNOのアポトーシス抑制作用について、量的差異のみならず、NOの発生時期、発生状況がアポトーシス発生にどのようにかかわるかを検討した。アポトーシスはTNFで誘発し、その感受性を高めるためにactinomycin Dを投与した。NOドナーとしてS-Nitroso-N-acetylpenicillamine(SNAP)を投与方法を種々変更してマウス線維芽細胞に投与してNOの発生(投与)状況がアポトーシスをどのように抑制するか、また、否かを検討した。その結果、SNAPの投与量を0.01mMから2mMまで増加する間はアポトーシスは濃度依存性に段階的に抑制されたが、SNAPを14mMまで増加して大量のNOを発生させた場合にはかえってアポトーシスが促進された。また、SNAPはTNF投与後、2時間以内に投与しなければ、DNAの損傷が進行して、もはや有効と思われる濃度のNOを発生させてもアポトーシスは抑制されなかった。今回の検討は線維芽細胞の細胞障害を遊離してきたLDHを指標として測定したために、それがアポトーシスに依るものなのか、ネクローシスに依るものなのかの鑑別を行うに至らなかった。今後。研究の機会があれば、この点や、同様の現象が肝細胞でも認められるのかなどについて研究を行いたい。
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