1997 Fiscal Year Annual Research Report
阻血障害肝のストレス蛋白並びにm-RNA発現量からみた移植肝機能発現の予測
Project/Area Number |
09671273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高谷 俊一 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (50163316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 慎 弘前大学, 医学部, 助手 (40241468)
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Keywords | Pre-conditioning / Heat Shock Protein / 肝移植 / 肝阻血障害 / 肝保存 |
Research Abstract |
【目的】肝移植の分野で飢餓状態や一過性の虚血などの軽度のストレスに予め暴露する事により,高度なストレスによる組織傷害の軽減される(pre-conditioning)ことが,Heat Shock Protein(HSP)の発現によるものであると報告されてきた.これに対し,我々は,HSPの発現を組織傷害の程度の指標としてとらえ,グラフト肝のviability判定への応用の可能性につき検討した. 【対象・方法】実験動物には7〜8週齢のWistar ratを用いた.肝門部にて肝動脈及び門脈をクランプし温阻血モデルを作成した.温阻血前,阻血後15分,30分,45分そして60分にそれぞれ肝組織を採取した.HSP64並びにHSP70の検出には,間接蛍光抗体法を用いた.採取した肝組織をスライドガラスにスタンプして塗沫擦過標本を作製し自然乾燥後,95%ethyl alcoholにて固定した.1次抗体としてpolyclonal anti-HSP64並びにmonoclonal-antiHSP70(mouse IgG1,Sigma社),2次抗体としてFITC標識抗マウスIgG抗体(Sigma社)を反応させ,蛍光顕微鏡にて検鏡した.凝固前を対照とし明らかに塗沫細胞に蛍光の増強が観察されたものをHSPs陽性とした. 【結果】HSP64・HSP70の発色はともに,温阻血30分後より蛍光の軽度の増強が認められ,45分及び60分後で蛍光の増強は顕著となった. 【考案】肝温阻血後15分までは,蛍光の増強を認めなかったことより,肝の組織傷害の程度は軽微であると考えられる.しかし,温阻血後30分以降では明らかにHSP64・HSP70の発色を認め組織傷害が起こっているものと思われる. また,現在HSPsの発現の定量のために,Western blotting法による測定及びHSPsのm-RNAの発現についての実験を実施中である.
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