1998 Fiscal Year Annual Research Report
術前放射線・抗癌剤併用療法の気管支吻合部創傷治癒に及ぼす影響に関する実験的研究
Project/Area Number |
09671385
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
綾部 公懿 長崎大学, 医学部, 教授 (60128147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (30271125)
岡 忠之 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (30213911)
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Keywords | 創傷治癒傷害 / 気管支形成術 / 放射線療法 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
8週齢Wistar ratを用い術前照射の気管支形成術における吻合部創傷治癒に与える影響を検討した。放射線照射線量を10,20,30,40Gyの4群に分けて縦隔領域に一回照射した。更に照射後手術までの期間を各群で3,7,14,28日に分け,術後の治癒評価を術後3,7日に行った.吻合部治癒評価は吻合部の最大耐圧(bursting pressure)とその膜様部に含まれるhydroxyproline含有量およびHE染色による組織を検討した.放射線による末梢血白血球数・総蛋白・アルブミンへの影響はみられなかった.体重変化は30Gyまでの線量では非照射群と違いがみられなかったが40Gyでは体重増加不良がみられた.bursting pressureは照射線量20Gyまでは非照射群と比較して差はなかったが30Gy以上では有意差を持って低下した.照射から手術までの期間での違いを20Gyで検討すると照射後14日目に手術した群の術後7日目の治癒程度にばらつきがみられるようになり、照射後28日の手術では有意に低下していた.hydroxyproline contentは術後7日目はどの群の間にも差がみられなかったが、術後3日目では照射線量が増加するに従って高値を示したが有意差はみられなかった.組織学的にはbursting pressureが低いものは細胞外matrixの形成が低下ていた.平成10年度研究で得られた新たな知見として,放射線照射による創傷治癒への影響は,照射線量に比例して大きくなり,術前一回照射ならば20Gy以下では治癒傷害を起こさない.また,照射後14日目頃からその影響が発生するため,照射から手術までの期間が14日目までの手術ならば術後の吻合部創傷治癒には重大な影響は与えなかった.
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